裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

日曜日

寒い寒い

“土日は編集部の催促がないから気楽”などと日記に書いたらすぐ、日曜なのに編集者から電話があった。読まれているな(笑)。
 でも、日曜は体の中のカミサマが休め々々と言っているので仕事しない。やっと秋らしくなったと思ったらもう初冬を思わせる陰鬱な天気で、なにかもの寂しくなり、読書も手につかず、ずっとパソ通やインターネットやって過ごす。世間とこうしてどこかでつながっていたい、という気にソゾロになるのは、すでに老化なのだそうである。まあ、こうして俺はボケていくのか、と思うとまた楽しくもある(笑)。
 昼はお茶漬け。昨日読んだ『精神科に行こう!』をパラパラ読み返す。そう言えば、この本、冒頭に新宿二丁目のオカマバー『いれーぬ』のタケちゃんの名前が出てきたのには驚いた。著者と同じ店に通っていたのね。チナミに、この本にもあるように、『いれーぬ』は客の九割がノンケのお店(本には“客の九割九分が・・・・・・”とあるがそれは言い過ぎだ)。
 4時に渋谷駅前まで出て、K子、それから北海道から上京していた私らのファンの志摩さんと待ち合わせ。彼女はネールアートのモデルをやっていて、東京で開催されるネールアーチストコンテストのモデルをやるために上京している。K子の仕事場に泊まっているのだが、今日はお見舞いのお供。談之助師匠曰く
「骨折したアイノコという珍しいもの見学に来たわけですな」
 地下鉄で根津。安達Oさん、談之助さんと待ち合わせて病院へ。根津というのはいかにも下町のたたずまいで、せんべい屋、ふとん屋、ちょうちん屋などの小店が並ぶ。渋谷だの新宿だのに住んでいると、まったくの異世界に感じる。
 病室へいくとベッドにブラック師匠の姿見えず。談之助師匠、“やっ、野郎、いねえぞ”と、叫ぶ。まるでギャングが寝込みを襲ったみたいだ(笑)。しばらく探してエレベーターのところで遭遇。志加吾くんから電話で、今日われわれが行くと知らされ、迎えに出ていてスレ違ったらしい。下の喫茶店で雑談。落語家には自分の災難は即、ネタになる。他の患者には聞かせられないような話いっぱい。結局、来月の独演会は吉川潮主宰のボランティア“アイノコを救う会”になったそうだ。
 6時に引き上げ、上野の焼肉屋『大昌館』で骨折に乾杯。2月の足の骨折のときには、見舞客がそのあと飲みに出かけ、自分だけが置いてきぼりにされる悲哀を味わったが、いや、他人を見舞ったあとのビールと焼肉はうまいうまい(笑)。親戚の葬式とかがあると、ひさしぶりに会う連中ばかりで酒の席が大盛り上がりしてしまうようなもの。話もはずんで、10時ころまで。志摩さん送って地下鉄で帰る。

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