裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

月曜日

スイングの夜

 振替休日で少しグータラする。フリーである身として、七曜に関係なく、旅行に行けたり、また世間が休みの日でも仕事したりという生活は楽でいいが、やはりメリハリがなくなるのが欠点か。作家にしては毎日決まった時間に起きたり仕事したりしている方だが、これは、もともとが怠け者故、いったんジダラグになってしまうと、どこまでも無軌道に流れ、結局仕事ができないと思うため。
 午前中はメールの返事、会議室への書き込みなど。昼に参宮橋に出て『道楽』でラーメン。ここの店、タクシーの運転手などに聞いても、うまい、という意見とまずい、という意見が分かれるが、結婚して最初に住んだところが参宮橋で、当初、夜食と言えばここのラーメンだったので、クセになっている。
 そのあと新宿紀伊国屋。参考資料を探したがナシ。帝都無線でもLD置き場消失。残品を15%オフで売っていた。15パというところがケチくさいが、『スイングタイムビデオ』のLD、昔ベータのビデオを買ったヤツだったが、懐かしいので数枚買う。
 渋谷の勤労福祉会館わきのところにこのごろ出ている屋台のたこやき、『まぼろしたこやき』と称しているが、ハリガミに“外側がカリッ、中がとろーり”とある。これは例の“おたべや”式のやつではないか。神田のおたべや亡きいま、うまいたこやきに飢えていたが、一度ココロミてみよう。
 帰って原稿書きにかかり、『モノマガジン』脱稿。徹底して意味のない内容にする。書き上げて夕食の用意。カツオのヅケ刺し、大根とアブラゲの煮物。女房が寝たあと、バーボン飲みながら『スイングタイムビデオ』でカウント・ベーシーのピアノを聞き、キャブ・キャロウェイの『セント・ジェームス病院』『ミニー・ザ・ムーチャー』を聞く。豊饒なる50年代を堪能。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa