裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

日曜日

うごー

 朝、母親から電話。
「パパがねえ、喉のパイプとって、やっと少ししゃべれるようになったのよ〜。声を聞かせてあげようと思って。・・・・・・ほら、パパ、俊一よ。挨拶して」
「うごー」
「ね、聞こえた? もう一回、やるわね。ほら、パパ、もう一回!」
「ごわー」
 ・・・・・・うーむ(笑)。
 午前中、週アス一本アゲ。K子に弁当を作って、仕事場に送り出し、シャワー浴びて、週刊ポスト映画評、『ILOVEペッカー』と、こないだの『ラスベガスをやっつけろ!』の2本分、書いて送る。それから朝日のコラムと、『となりの山田くん』鼎談のナオシもちょっとやる。なまけものの節句働きと言うが、なんで休日にこんなに仕事せんならん。
 遅く昼メシ食って、運動にと青山まで歩く。ちょっと汗をかいた。青山ブックセンター本店でしばらく本をあさって、マーティン・ポーリー『バックミンスター・フラー』、ハンス=ヘルムート・デッカー=フォイクト(長い名前だね)『音楽療法事典』など、一万七千円ほど買い込む。ついでに青山紀の国屋で晩のオカズなど買い物し、帰る。
 三遊亭圓生『真景累ケ淵』をCDで聞く。そう言えばこれをはじめとする『圓生百席』の制作記録である京須階充『圓生の録音室』が文庫になった。自分だけが秘かに繰り返しチビチビ読んでは楽しんでいた名著がこうやって文庫になるのはくやしいものであります。
「テレビ見ました」と未知の人からメールがくる。そうか、今日の『王様のブランチ』で『トンデモ怪書録』が取り上げられるんだった。すっかり忘れてました。
 メシ作りながら、絵画展のアイデアをいろいろ練る。銀座の画廊から、私の名前で企画展をやらないかという話がこないだあったのである。やりたいことはいくらもあるのだが、手間と義理を秤にかけなければならない。
 8時半、晩飯。イカ団子汁、和風ステーキ。NHKスペシャルで東海村臨界事故ドキュメント。事故の裏にあるリストラ政策のツケなどいろいろ考えさせられるが、それよりやはりウレシくなったのが対策の手遅れを言い訳する科学技術庁の役人(原子力安全局長)の、いかにもといった悪人面。こうでなくちゃいけない。言うことも規則をタテにとった役人理論。“合議制ですからね、一委員の意見だけで動くわけにはいかない”なんてセリフは、ガメラ映画にでも出てきそうである。なんで政府もこういう悪相の人間を表に立てようとするか。これに対するに、その“一委員”の住田教授、温厚丸顔、御茶ノ水博士そっくりの善人顔で、対比が見事。キャスティングの妙に感心。
 カチンコ(中野にあった女装バー)からもらった去年の女装オフのビデオなど見る。臨界事故以上のインパクト。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa