裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

30日

土曜日

検索エンジンゴリなのだ

宇宙の敵だと出てくるとみぶるいするほど腹が立つ。

30日
※シネマアルゴ打ち合わせ 仕事場大掃除 コミケ前飲み会

8時半に電話で起こされる。早いよと言ったら
「金曜はいつも早いでしょう」
と言うので、あわてて、そうか、ラジオ収録を忘れていた、と思ったが収録は昨日終わっている。
「ラジオは昨日だよ」
と言うと、
「そういうことは言ってくれなくちゃ!」
と怒るが、そもそも今日は別に早くも何もない土曜日である。お互い寝ぼけていて話が噛みあわない。

起きて入浴(二日酔い気味、寝汗多々)9時半朝食、コーンスープ、リンゴ、ブドー。食べてすぐ出かけて事務所で台本(途中まで)プリントアウト、11時カフェミヤマ。アルゴH氏。いろいろ打ち合わせ。不景気な話と希望持てる話と半々くらいか、といったところ。こっちの企画には社でもいい反応ではあるらしい。

終わって別れ、その足でタントン。ここまでの疲れ大いにたまっているような。終わって新宿に行き、さくらやでBSチューナーつきのHDレコーダーを買う。元旦のBS−iの番組を見るためであるがこういうことでもないとなかなか買うきっかけがない。そう言えばここ、経営再建になってから例の“おきにめ/すままご/らんください”のCMソングはかからなくなったのか。『エレクトリックパーク』に収録されていおらず残念に思っていた“安いよ安いよ断然やすい〜安い衝撃グッとくる〜”の方の唄は『懐かしのCMソング大全・5』に入っていた。
http://www.neowing.co.jp/detailview.html?KEY=TOCT-24524

帰りに立ち食い蕎麦すする。事務所にもどる電車内で、楓月悠元『全宇宙の真実 来るべき時に向かって』読む。著者はかつての宇宙友好協会(CBA)幹部。前書きで“トンデモ学会”に大変憤慨している本であるが、CBAが大規模な活動をやめてから解散するまでの経緯が簡単ではあるが述べられている。代表であり独裁者であった松村雄亮はやはり、解散間際には信金調達などの不如意でヒステリックになり会員たちに責任を転嫁して怒鳴りつけていたようだ。それを著者は代表が自分たちに試練を与えていた、と言い、
「筆者を含めて、多くの会員たちは、宇宙正義の実践者たる自覚が未熟であったがために、重要任務に対する責任感が希薄となってしまった」
と、自分たちがいたらなかったのだとひたすら松村氏をかばっている。カルトの親玉の典型例と、洗脳されてしまった者の典型例。

本とFAX用紙の山になっている仕事場の整理。5時までかかって、なんとか正月を迎えるにふさわしいくらいにはなる。資料本(かつ小道具)として古書店で探さないとと思っていたものがひょこっと出てきたりしたのは儲け物。ネット資料チェックしたら、訃報の取りこぼしが。去年後半、こんな人も亡くなっていたのだな、と感慨深し。

アーサー・ヒル(10月22日死去、アルツハイマー 84歳)
『アンドロメダ……』のジェレミー・ストーン博士。地味なキャストでドキュメントっぽく作られたこの映画の俳優たちの中でも群を抜いて地味な印象の人だった。しかし、この地味さが彼の武器で、『動く標的』などは、その地味さと誠実さを逆手にとって、ラストのあの名シーンを〆ていた。テレビドラマの世界では“弁護士とか法律関係の役をやらせたら右に出るものはいない”という評価だったようだが、経歴を見て納得。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の法律科出身だったのであった。

ジャック・パランス(11月10日死去、老衰、87歳)
言わずと知れた『シェーン』の殺し屋ブラウン(黒づくめの服でコーヒーもブラックしか飲まないという役なので名前をブラックと覚えている人が多い。案外平凡な役名なのだ)だが、カストロからアッチラ大王まで、人種も国籍も無視してあらゆる役柄を演じ続けた俳優でもあった。ナポレオン・ソロもの映画の最高傑作とされる『ナポレオン・ソロ対シカゴ・ギャング』にも出演。この映画、タイトルに偽りありな作品で、老いて引退していたシカゴ・ギャングたちがソロと協力してスラッシュと闘う話なのだが、パランス演じるスラッシュ幹部ストラーゴは、いわば“新興ギャング”。喘息持ちみたいな笑い上戸で女嫌いの悪役を怪演していた。その彼が、『バットマン』では、古い世界に生きる老ギャングとして、新興勢力で笑い上戸の怪人、ジョーカーに殺される役を演じていたのは鏡を見るような感じだった。しかし、ジョーカー役のジャック・ニコルソンよりはるかに貫録があったものである。

ピーター・ボイル(12月13日死去、心臓病、71歳)
ご存知、大傑作『ヤング・フランケンシュタイン』のクリーチャー。ただでさえ容貌怪奇な怪優だった彼にはまさにハマり役で、その狂気は次なる主演作『マンハッタン皆殺し作戦』で、その名も“クレージー・ジョー”なる、狂気そのものの示現と言える役で大いにこちらを驚かせ、ふるえあがらせ、狂気ならぬ驚喜させた。意外なことに、チャンバラをやらせればハリウッドでも一、二の腕だそうで、隠れた快作『カリブの嵐』や隠れた怪作『イエロー・パイレーツ』での悪玉役を、実に楽しそうに演じていたのが印象的。晩年の代表作がホームドラマ『Hey!レイモンド』のお爺ちゃん役というのがちょっと悲しいが、聞くところによればこのお爺ちゃんが大の奇人で、しょっちゅうトラブルを巻き起こすという、いかにもピーター・ボイルにぴったりという設定であったらしい。そんなら見てもいいかしらん。

……それぞれに、名作群を通して私を作ってくれた方々のご冥福を祈りたい。

新中野に一旦戻り、母の室でチューナーの設置。何とかうまく行ったが、NHKの画面だけ、なぜか荒れるようになった。NHKは事務所の方でも(真ん前なのに!)画面荒れる。チューナーやビデオ機器と相性が悪い局なのかも知れぬ。

6時半、東新宿『幸永』。コミケ前祝い。IPPANさん、しら〜さん、金成さん、S井さん夫妻、気楽院さん、桐生さんなどと。金成さん、気楽院さんに新刊いただく。IPPANさん、ワシントンホテルに宿泊していて、下の行列を窓から眺めるのはやはり快感、と言っていた。S井さんに和央ようかの話をする。次の彼女のコンサート、立ち見席チケットが三万円のプレミア、S席、本来1万円のところ六万円の値段がついているとか。

トンデモ本大賞のオープニングについて、ちょっといたずらを提案、IPPANさんもS井さんもオモシロがっていた。しら〜さん、マドのパソコンでの画像制作技術を絶賛。ホッピー3バイにマッコリちょっと。焼き物例の如く、〆はIPPANさんと分け合って冷麺とコムタン(テールスープ&ライス)。帰宅してちょっと体冷えているので入浴、すぐ寝る。かなり寝た気がして起きたらまだ11時台だったのに驚いた。6時半から2時間ほどの宴会だったので、寝たのは9時ころか。

(残りの年末日記は後日アップ予定)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa