裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

金曜日

あ、明治神宮・グレイス

本田美奈子も参拝したんだよ。

※『ポケット!』収録、『モウラ』原稿、『くすぐリングス』

朝6時起床、入浴、しかる後また8時まで二度寝。これ、温泉などでやると極楽。正月休み中に温泉籠りなどしたいもの。

8時半、朝食。目玉焼きとリンゴ数切れ、イチゴ数粒。コーンスープ、ミルクコーヒー。目玉焼きは、今日のラジオ収録へのスタミナ補給。ネットニュースでトルクメニスタンのニヤゾフ大統領死去の報。今年はさまざまな分野の惜しいという人物が亡くなっている。この独裁者は死んでもまるで悲しくないが、惜しいことは惜しい。独裁者と言ってわれわれが考えつくようなことの全部をやっているような気がする。

ウィキペディア『サパルムラト・ニヤゾフ』より、その功績

*首都と大学を除く図書館の廃止を命令。
o ニヤゾフ大統領の「田舎の人はどちらにしても字が読めないのだから」という見解による。

* バレエ上演を禁止。
o ニヤゾフ大統領の「白鳥の湖の男性ダンサーの衣装が気に入らない」という見解による。

* 首都を除く地方の病院を閉鎖。
o ニヤゾフ大統領の「ちゃんとした医師は首都にいる。病人は首都に行けばよい」という見解による。

* 女性の金歯を禁止。
o ニヤゾフ大統領の「女性には金歯が似合わない」という見解による。

* すべての閣僚、地方行政府長官、軍人などにベンツの新車が支給された。
o 前年支給されたベンツは補佐官などに譲ればよいと大統領は付け加えた。

* コンサートやテレビなどのみならず、結婚式などでも口パクで歌うことを禁止。
o ニヤゾフ大統領の「歌や音楽の発展に負の効果をもたらす」という見解による。

* 若者のヒゲを禁止。
o ニヤゾフ大統領の「見苦しい」という見解による。

* ニヤゾフ大統領の著書「ルーフナーマ」(Ruhnama)は国民必読の書とされ、クルアーンと同等とされている。
o 教科書としても使われている。

* 首都ではほぼ50メートルごとに、ニヤゾフ大統領の肖像や銅像が設置されている。
o 肖像や銅像を清掃する担当者も存在する。

* 首都とニヤゾフ大統領の故郷のキプチャク村までの15キロメートル間は6車線の高速道路が整備されている。(ただし利用者は皆無)
o キプチャク村には黄金のニヤゾフ大統領家族像や利用者皆無のホテルが建設されている。

* ニヤゾフ大統領がカツラをかぶっていることを報道することもタブーである。

* 世界で2番目に報道の自由の無い国に認定されている。(2006 Reporters Without Borders)

o 既にケーブルテレビ局は全廃されており、ロシアのメディアを通じたテレビ放送枠も厳しく制限されている。

* トルクメニスタン国内では煙草は禁止。
o ニヤゾフ大統領はガン手術を受けており、禁煙中のため。

* 8月15日をメロンの日に制定。
o ニヤゾフ大統領の大好物はメロンである。

* テレビのニュースキャスターの化粧禁止。
o ニヤゾフ大統領の「男なのか女なのか分からない」という苦情による。

* ニヤゾフブランドの商品が売られている。
o 牛乳、乳製品のような生活必需品から酒や服に至るまで何でも有る。

原稿書いていたら出る時間が遅れる。あわててタクシーで向かうが年の瀬で道が混む。15分遅れ。今日はいつものスタジオの隣のスタジオで。と、いっても作りは全くと言っていいほど同じ。時間まで、打ち合わせ用小部屋(名称がなく、小部屋々々と言っている)で半田健人くんと打ち合わせ。青島幸男さんの話など。

半田くんの新曲『かっこいいブーガルー』(2日前発売)のプロモーション。こっちはクレージョーケンバンドのカバーであるが、半田君に
「カバーってやってみたかったでしょ」
と言うと、嬉しそうに
「夢だったんですよ」
と。そして、彼の作詞作曲になるB面(CDにB面というのもないが、あえてB面といいたい)の『新宿泪知らず』は、ロコツな昭和歌謡で、なりきりの歌い方が実にもう。半田くんの口から、バンド時代のかなり硬派なエピソードを聞くが、へえという感じ。あと、なかなか傑作な某の携帯電話の裏話も。

青島幸男が自分で唄っている『意地悪ばあさん』主題歌をぜひ、かけたかったのだが、先日の茶木みやこと同じくこれもアナログであった。ところが二番に“ツンボ”という放送禁止用語が入っているので、一番のみ流すことになる。驚いたことに、半田くんが
「ツンボって何ですか」
と、その言葉自体知らなかった。ポリティカリー・コレクト教育の縛りが長年続いた成果というか何というか。
「メクラの耳版」
と説明し、メクラもわからないかな、と言うと
「そっちは知ってます」
とのこと。つんぼ桟敷とかという言葉は使わないのか。言葉狩りの弊害はさまざまあるが、こういう言い換えで起きたという被害例で有名なのは、四国の“いざり峠”がいけないから、と“天狗峠”と名を変えたら、登山者が古い地図を持っていたために道に迷って遭難したというエピソードがある。事実とすれば言葉狩りは人の命を奪っているのである。

その他、岸田今日子さんと青島幸男さんが主役をやっている『千夜一夜物語』の一場面とか、ジョセフ・バーベラ追悼で『地球のマーチ』とかも用意したのだが、時間の関係で流せず。残念。しかし話は非常にはずみ、内容の濃い会にはなった。半田健人くんは最初に出演したときには、オタ的に、視線をブラさず一点を見つめてしゃべるような、一種の異様さが感じられたが、今回はちゃんと自分のテリトリーの都倉俊一を語りながら、ちゃんと相手(私や海保さん)と噛みあって会話が出来ている。すごい進歩。やはり売れるやつは一回ごとに進歩するものなんだな、と思う。

例の企画の件で、また尻を叩かれる。しょこたんも参加したいと言っているようである。携帯番号を交換、細かく情報のやりとりを、と。さっき携帯がらみのエピソードを聞いたばかりなのでちょっとニヤニヤ。

終わって、今日は彼はすぐキャンペーンなので1時半ケツカッチン。梅田佳声先生を、本来は来年お呼びする予定だったのだが今回、告知のためにお呼びして、28日の恵比寿の告知をしていただく。海保さんがもう、先生の発言のいちいちがツボのようで笑いまくり。そうか、“可愛いお爺ちゃん”フェチだったか。岡山で放送する分の特別オープニングを収録するが、最初テストのときは
「私ゃ備前の岡山育ち、米のなる木をまだ知らぬ」
とやって、本番では
「きびだんご……きびだんご、フゥ」
と、なんだかわからないが大笑いの言葉。

お昼をまだ私とオノは食べていないので、収録後にコージーコーナーで佳声先生とお茶しながら、スパゲッティを。別れて、渋谷に帰る。
『モウラ』原稿、大至急。昔書いた文章を資料にしたいのだがどこのフロッピーに入れたかわからず、mixiで送っていたはず、と思い出し、メッセージ機能に検索がついたのでそれで探したら、あっという間に見つかった。この原稿が間に合ったのはmixiの新機能のおかげである。

それから『ポケット!』の挨拶文書き、講談社への図版資料送付を
オノに託し、私は新宿ロフトプラスワンへ。『くすぐリングス/年末くすぐりあい運動』。児玉さとみさん、開田あやさん、アンディ・オナホールに扮したくすぐり男爵に挨拶。なぜ男爵が今日はアンディ・オナホールなのかというと、前半はハルウララがあの格好で“くちゅぐり男爵(だんちゃく)”に扮するため。毎回、実にいろいろ考えることである。

児玉さんはずいぶんとダイエットして、声もちょっと変わっていた。
「一緒にBL系のゲームの声優オーディション受けに行きませんか」
と誘われる。前に企画会議のとき、“シブい声の中年”のキャスト選びで、私の名前があがっていたそうだ。そういうのは大喜びでやるのでぜひ、と言っておく。来年は、ちょっと“偉そうな”仕事がすでに決まっているので、バランス感覚でアホな仕事もとっておくべきなのである。

試合はまあ、いつも通り。昼にマンコスのライブがあったそうなので、りえ坊などはもうデロ酔い状態。くちゅぐり男爵の天然なんだかツクリなんだかの萌え声進行が大笑い。しかし、解説しながらやたら疲れる。徹頭徹尾ツッコンでなくてはならないせいである。ロフトの斉藤さんが偽ナチで登場、ハルウララ(後半はいつものハルウララになる)とくすぐりあいをしていた。開演前に、ちょっといつもの斉藤さんとノリが違うので、何かに怒っているのかと思っていたが、凄まじく緊張していたらしい。

ひろひろ、ミルサチカ、めーこ、稲妻サンダー、練習生レイなどレギュラー陣みな活躍。春咲小紅(この元歌も知らない子が増えたか)は店にこれから出なければいけない、と言って第一試合に登場、あわただしく新宿ゴールデン街に去っていった。途中で乱入団体あり、資格の黄金咲ちひろとカンフーミキのゆるい対決もあり、ゆるゆる度が今回はいつもに増して高かった。一番メトミチックだったのは練習生レイをお客さんと対決させたときのお客さんの動きだったりして(どこかの団体のキャットファイターらしい)。

終わって、jyamaさん、rikiさんなどと話す。会場で打ち上げ。ぐれいす、神田森莉、佐藤丸美などとちょっと話す。ぐれいすさんは中川翔子と半田健人のファンだというので、例の企画に誘っておく。イラスト担当者がいると強い。ぐれいすさんはちょっと太って樋口真嗣さんに似てきた。しら〜さん、あやさんと児玉さん誘って青葉。さすが年末、イブイブだけに青葉が混んでいる。漢方鍋、鴨肉の紅麹漬けなど。紹興酒と青島ビール。児玉さんが漢方鍋の甘味に感動していた。

イブイブの金曜日、時間はすでに一時過ぎ、タクシー捕まえるのに基本一時間かな、と思いながら出る。去年、やはりこの時期タクシー捕まらず、あやさんと2時過ぎまでDUGで時間つぶしたことを思い出した。去年の暮は某件で胃を痛めて、そのことを話したりしていたなあ。もうあれから一年か。幸運にも、目の前にタクシーが止まって客を降ろしたので、それっとばかりにつかまえて乗り込む。1時45分には帰宅できたのは幸運。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa