裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

土曜日

銀座経由日暮里、の記

朝8時起き。かつての早起き俊ちゃんはどこに行ったという感じ。昨日のブジオ、コメントがかなりついていてありがたい。一件、“会田誠”という署名のものがあるのが気になる。“あの”会田誠氏か?

9時、朝食。青汁、アボカドとリンゴ、コーンスープ。午前中、FRIDAYの四コマネタをやる。今日はプロントのフリーペーパー用写真撮影なので自前の白衣を持って出る。医者でも教師でもないのに白衣、指示棒などが自分の家で用意できる人物というのは何か。

11時半、家を出て道楽でノリミソラーメン。仕事場でちょっと雑用。そこから東銀座。マガジンハウス本社も久しぶりである。日曜なので裏口から。地下のスタジオで撮影ですからと言われていたがそこは初めてなので(『パンチザウルス』がつぶれたときに編集長が更迭されたという伝説の地下在庫管理室までは行ったことがあるが)、ちょっと迷う。先に着いている六花マネと連絡とって、やっとたどりつけた。

駐車場の空きスペースをスタジオにした、という感じのところだが白塗りで清潔、ちゃんと控室もあるというなかなか使い勝手よさそうな場所。編集者のSくんが
「実はうちの社長がOと言いまして、昔、唐沢さんと・・・・・・」
と言う。なんと、まさに『パンチザウルス』、いやその前の平凡パンチで担当だったOくん。それでやっとわかった。Oくんはもともととり・みきの担当で、とりさんのアシをやっていたなをきもその縁で原稿持ち込みなどをしており、私もなをきを通じて紹介してもらい、ライターとして仕事もらっていたのだった。

あの頃はまだ彼は契約社員で、パンチ二誌がつぶれたあとはあちこち転々として不遇をかこちていたようだったが、今や編集プロダクションの社長か。往時茫々、夢の如しとは言うものの昔話が出来る男がまだ業界でちゃんとやっているのは嬉しい。今度一緒に飲みましょうと言っておく。

撮影そのものは、ツイこないだ二見でやったものとまったく変わらず(あれよりは少しスカした感じか)。若いカメラマンさんが
「どうポーズしてもらおうか迷ってたんですが、何も言わないのに次々とやっていただいて、ありがたいです」
と言っていた。と、いうか、あの写真借りてそのまま使ってもよかったようなものである。40分ほどで撮影完了。ただしフリーペーパー自体は広告の関係で当初の予定より発行が後れるようである。

マネと文明堂の喫茶コーナーで打ち合わせ。“カステラモーニング”というセットが2時まで。1時50分なのでギリギリOK。もちろん二人ともそれを頼む。カステラ一切れとミルク。カステラもうまいがミルクが大変に濃厚で結構。銀座で仕事始めたら朝はコレだな。

月曜の講演(秋田)に使うパワーポイントの件で、明日、夕飯がてらMさんにうちに来てもらうよう頼む。マッドハッターの扮装用にオリジナルの帽子が欲しいという話をしたら、彼女の友達で帽子を作っている女性がいるとのこと。頼んでみようかと思う。

別れて丸ノ内線で新宿。雑用ちょっとして渋谷へ。土曜がまたつぶれて古書店めぐりが出来なくなった。原稿、週刊プレイボーイ。無難に完成。

待つ方の身として無難な気分ではなかったはずのSくん、ライターねがっち、おぐり、みずしなさんに送る。それから例のアキバ企画の件でコナかけていた某社からの前向き(?)な反応の件をこの企画用MLに流して報告。

6時半、新宿まで車で出て山手線外回りで日暮里。おおき屋でうわの空ミーティング。ちょうど始まるところに間に合った。ラジオの話、ライブの話などしながらいつものコース、今日はカツオたたきから始まって、例の肉、カキとネギ炒め、メンチカツ、もんじゃのフルコース。大将、またこっそりとやってきて、「例の話、バッテンになったから!」と。やはりIT成金はアテにならんらしい。

これで“この店にいまのうちに急いで行くツアー”も必要でなくなったわけだが、そうなるとサテ残念、と思えてくるのが面白い。途中で白夜書房のTさんも来て、このあいだの『ブジオ!』取材のお礼など。いろいろと話し出る。楽しい話あり、個人的に困った話あり。

11時過ぎお開き。山手線で新宿まで、みずしなさん、金沢くん、山本くん、モナぽさんたちと。どういう流れだったか忘れたが地方の仕事でひどい目にあった話などして、「人間不思議なもので、いい思いした経験よりひどい目にあった経験の方が、しばらくたつと財産になるんだよね」などと金沢くんたちに言う。雨かなり降る。新宿で降りて、もう12時過ぎ。地下鉄の最終が微妙だったのでタクシーで帰る。

体冷えていたので半身浴30分。コリン・ウィルソンなど浴中読書。いろいろ考えることあり、頭の中で近い将来のシミュレーション。鶏肋(捨てようとして捨てきれない)でこだわっている某企画、いっそ投げるか、とぼんやり考える。満足できる結果じゃないが、やるだけはやったしもういいか、というような思い。人の見たくもない姿も見過ぎるほど見たし聞きたくない言もイヤというほど聞いた。これが将来財産になるかどうか。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa