裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

金曜日

不思議なメル友

 メル友ちゃんの持ってる女の名前男の名前知ってる・かい。朝の目覚め非常に心地よし。藤原紀香のエロ夢を見た。こういうのは珍しい。昨日は親父が夢ではじめて、現在の寝たきりの姿で出てきた。これまでは元気なときの姿だったのである。で、親父の隣には祖父が、これも生きていて寝たきりでいる。ここに私も並ぶのはイヤだなあ、と思っているうちに目が覚めた。ホントにイヤなので、健康には留意しよう。朝食、ハクサイとソーセージのスープ。ブラッドオレンジ。

 K子に弁当。シャケワカメ御飯。午前中は海拓舎原稿のナオシで過ごす。文体を凝り過ぎないように注意する。若いころはヒネりにヒネった文章でものを書くことが快感だった。デビュー当時、この人の文章力に近付きたいものだ、と尊敬していた同世代のライター氏がいて、この人のコラムはヒネりあり裏技あり伏線ありで、毎回々々名人芸と言うべきものだったが、彼がある本の一章をまるまる担当した本を読んで、読後胸焼けがして困じ果て、そのときにハッと悟ったことであった。凝った文章は、読む方にもテンションを高めることを要求するので、長さの限度を超すと、読者がバテるのである。日本人はやはりお茶漬けに塩昆布を好む民族なのである。長い文章はさらさらと、を基調にすべし。これは自戒であり、自戒はなかなか守れないからこそ行うものなのだが。

 昼は冷蔵庫に残っていたアナゴのしぐれ煮とシナビた三つ葉を刻んで御飯の上にかけ、上から昆布茶を注いでアナゴ茶漬け。さらさらとかっこみ、講談社Web現代にかかる。ネタは自家薬籠中のもの、資料収集は充分、サラサラいくかと思ったが、このところ記憶力とみに衰え、原稿中に使う江戸小咄の細かなデティールをド忘れし、またこういうときに限って書庫にもその小咄が載った本が見当たらず、ネットで検索してもヒットせず、これで二時間ばかりを無駄にしてしまう。結局、別の話をもってきてそこに当てたが、これはこれで当初の予定のものよりインパクトは高くなったとはいえ、モヤモヤの晴れないことではあった。

 3時、喫茶時間割で、某社某くん。別に伏せ字にすることはないが、まだ進行中のことなので、とりあえず伏せておく。新雑誌創刊の件についてレクチャーを頼まれ、現代の三○代読者の傾向について、いろいろと例をあげて教える。ここの社長はとにかくハイソ好みで、今回のこの雑誌も三○代の“成功者”を読者層に規定して作るのだそうである。私ゃどちらかというと成功者でも失敗者でもない、ハズレ者ばかりを相手にしてきたんだがな。話はずみ、気がついたら二時間以上、ダベっていた。

 帰ってまたWeb現代原稿書き。今夜は8時半にオフなのだが、やっと書き上げたのが8時15分ころ。即、メールして出かける。百人町のグリーン食堂で裏々パティオの犬鍋会である。道に迷ったという黒さんを駅前で拾い、グリーン食堂へ。東京メンバー10名ほどの集まり。すでに鍋の中でワンちゃんがおいしそうに湯気を立てていた。特別参加がQPハニー氏と植木不等式氏。鬱症になったという植木氏をツツいていじめて遊ぶ。裏モノ連中と情報交換、みんな濃いこと。『噂の真相』の記事のことなどで爆笑。これを大量に購入して周囲に配って歩く者がいるのではないか、と話す。その他、場所が場所でヤバい話多々。犬鍋、犬炒め、ニラチヂミ、豚カルビ、冷麺まで、いずれも美味で満足々々。11時半、タクシーで帰宅。

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