裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

月曜日

投げたなら、抗鬱で

 ランナーズ・ハイになったらエッサッサ。朝7時半起き。少し頭痛あり。風邪がまだ残っているのか、さなくば用心のためにと昨夜のんで寝た風邪薬のせいか。あと、鼻が病気の犬のように乾くのも往生。昨日の油分のせいか多少腹も下り気味。朝食はコーンスープとナッツ、それにミカンのみ。

 鼻が乾くのは体内にまだ熱がこもっているせいだろう、神経も多少浮かれ気味で、仕事にならず。K子に弁当。Web現代、編集部から指摘あった部分、ちょっと書き足してメール。彷書月刊書きはじめるが、昨日書きかけた分を読み返すにまるで面 白くなく、全部放擲。書庫にこもり、新しいネタで書き直すべく、ネタ探し。昼は茶漬け、というより冷や飯に冷たい麦茶をかけて冷やし茶漬け。サンマーク出版に打ち合わせの日取りのメール。“今度はお忘れないように”と返事がくる。ここの日記、読 んでいるらしい(笑)。失礼しました。

 1時、渋谷駅でK子と待ち合わせ。銀座線で浅草まで。東洋館でMBMの会(前田隣、快楽亭ブラック、丸山おさむの三人)プロデュース公演の旗揚げを見に行く。まあ、その後で以前快楽亭に連れてってもらった谷中のもんじゃ屋にまた行こう、という主旨なんだが。銀座線の客で、五○才くらいのトレンチコート姿の紳士で、右の首のつけねのところが、顔と同じくらいの大きさにふくれている人がいた。連れの人も見なれているらしく、別段意識せずに仕事の話をしていたが、なんであそこまでになるまで放っておくのか、あるいは処置しようがないのか、なにかメス入れたりすると命にかかわるのか。どうにかしようがあるのではないか、と不思議に思う。

 MBMの会のポスター、前田隣と丸山おさむはともかく、快楽亭の写真が、いつのだ、と言いたくなるようなやせた若者の写真である。浅草東洋館、平日の昼間だし、どうせ十数人程度の客だろうと思って入ったら、ほぼ満席といった盛況でビックリする。快楽亭が客席のぞいていたので、“なんでこんなに入ってるんですか”と訊いたら、彼も不思議そうに“なんででしょうねえ”と言う。それも誰かのファンとかいうのでない、団体でもない、ごく普通の浅草の、一般の客(つまりかなり高齢の)である。まあ、もっと驚いたのは、客席に、別に何か特別の会でもないのに、QPハニー氏がいたことであるが。聞いたら、今日、有給とって休みなのでここに来たのだそう だ。国家公務員が有給とって来るところなのか、東洋館って。

 入ったときは立川龍志が『お血脈』をやっていた。確か、こないだここに入ったときは快楽亭がこれをやっていた。場所が浅草だけに、やりやすい話なんだろう。次が前田隣。雑談ぽい漫談で、年寄りをつつくギャグを連発。“バスも病因もタダなんて奴らは、もう国のためにならねえんだから、早く死んだ方がいいんだよ”というような毒舌に、タダのバスでここまで来ているような客たちが大笑いというのは何か大変に心が暖まる。客席の人たち、パックの酒を回し飲みしていたりしてリラックスした雰囲気である。

 その後中入りがあり、後半はモロ師岡代演で奥さんの楠美津香、快楽亭、喜多恵子の奇術、そして丸山おさむ。楠美津香はひさしぶり。芸人ぽくない芸人が最近は増えてきたが、演劇人は相変わらずどこから見ても演劇人。快楽亭は英語バージョン『時そば』という、なんだかわからない(笑)ネタ。丸山おさむは『戦後歌謡史』が途中から『温泉課長』に変わっちゃった。とにかく、この人の高座はいつもながら長い。トリってこともあるが、たっぷり一時間以上やる。灰田勝彦やバタやんは白山先生に及ぶべくもないが、やはり年代が下がってくるにつれ、どんどん上手くなっていくのが面白い。すでに尾崎や長渕が懐メロなんだねえ。

 客席に、他にくりくりのケン&絵里コンビ、それからひえだオンまゆら先生。アゲ後、このメンツにノスケさんとQP氏加え、谷中のもんじゃ屋『大木屋』で、飲み会となる。ここはK子がこないだフィンランド語で行きそびれたので、今日はお名指しで。快楽亭はこれから昇太の芸術祭大賞受賞祝賀会に行くというので、肩衣姿。最初のステーキ食べて、では、とあたふた式場のキャピタル東急へ。マスターが“さあ、アイツがいなくなったからバターたっぷり入れるぞ!”。で、まあこのメンツなんでその後も飲んで騒いで。ほとんど仕事らしい仕事をしない一日だったが、全身のシコリがほぐれるようだった。絵里さん、ノスケ師匠の声を絶賛。山手線で帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa