美容院に勤めているんですって。朝７時起き。朝食、ソーセージ＆チーズ。作りながら、談志の『五人回し』のＣＤを聞く。ナマの高座を聞くとき、談志の最大の魅力はそのマクラにあるのだが、ＣＤで繰り返し聞くときには、マクラがうっとおしい。話は後に残るものであるけれど、マクラは“現在”を切り取ったものだからだろう。私のエッセイなんてものも、落語のマクラだけを独立させたようなもの。後世に残ることより、“今”に受けることを目指すべきものだと思う。

　ＳＦマガジン、送り損ねたものをもう一度送信。その前にちょっと手を入れる。これにちょっと時間を食った。過不足なく言うことを入れるというのも難しいものである。特に、このような枚数（一○枚）のものだと、かえって。それから『一個人』、一部商品のキャプションで差し換えがあったのでそれを書き、ＦＡＸ。日記、風呂。それとＫ子への弁当、今日はヤキメシ。

　対談本の原稿が前書きを残して片付いたので、肩から重荷がやや、下ろせた気分。海拓舎原稿を１２時まで、ワシワシやる。１２時にＦくんと打ち合わせがあるためだが、１１時半くらいにはりきったＦくん、もう渋谷に来て、『時間割』休みなんですけど、と電話くる。休みなんじゃなくて、まだ開いてないんだって。あわてて、冒頭の部分のみ印字して、東武ホテルで打ち合わせ。テーマ、二転三転しているが、やっとまとまった感あり。

　打ち合わせ終えてその足で新宿へ出る。昼飯、何にしようかちょっと迷ったが、結局牛たんねぎしのからしたん焼き定食。食べて、用心のため胃酸制御剤買ってのむ。その後、紀伊國屋を回り、雑用すませてタクシーで帰る。ＳＦマガジンＳ編集長から電話。三時ころ、図版用ブツの受け渡し。それまで、北海道新聞原稿。今回書評分のうち、メインの三冊はすでに決めていたが（平井和正『メガビタミン・ショック』、黄文雄『漢字文明にひそむ中華思想の呪縛』、飛鳥昭雄『ミステリーサークルの謎とスターウォーズ』）、毎回五点を紹介するのがキマリなので、他の二册をどうしよう か、迷う。面白いものだったら、次回に回さねばならないのである。さして面白くな かったものを選択する、というのもなかなか困る作業である。記憶にあまり残っていないからである。結局、最近の読了本のうちから、ぶんりき文庫『宇宙人の屁理屈』（風上舜）と、ＫＡＷＡＤＥ夢文庫『オカルトの大疑問』にする。“夢”ナントカ、という名称のものはひっくるめて大嫌いなのだが、この本はこのテの文庫には珍しくオカルトを科学的視点から解明したもの。“と学会”のように意地悪なところもなく文章も地味で、神話・伝説などの類には必要以上のツッコミをしていないから物足りないかもしれないが、懐疑派入門のためにはいい本ではないかと思う。『宇宙人の屁理屈』は、題名にひかれて買ってみた本だが、素人の作文（まあ、ぶんりき文庫はそういうものを文庫にするところだから仕方ないが）にしても出来が悪い文明批判もどき。バブル経済が崩壊したのは、日本人がその金が欺瞞に満ちていることに気がついたからだ、などという、屁理屈というよりは寝言に近い文がダラダラと続いている。

　体の調子、さほど悪くはないが、昨日少しハリキリ過ぎて、ガタが来ている。一応揉み込んでもらっておいた方がいいか、と思い、少し頻繁のケはあるが、マッサージ予約。Ｓ編集長に図版のブツと差し入れのドリンク類渡したあと、新宿へまた出て、マッサージしてもらう。サウナえらい混雑。初老の男二人がえんえんと話している。クレイ射撃業界の人らしい。小一時間その会話を脇で聞かされて、だいぶ日本クレイ射撃界の現状における問題点に詳しくなった（笑）。二人ともやたら声高なのは、射撃場で耳あてをしながら会話している習い性からだろうか。マッサージは肩が張っているのに、足が原因だといって下半身中心に揉まれる。

　その後、伊勢丹のてんぷら屋でＫ子と食事。頭がボーッとしているのでしばらくカラオケ店で酔いを覚まし、帰宅１０時。北海道新聞のゲラ原稿が届いているのでそれをチェック。ネットでスポーツニュースなど見て回る。女子プロレスラーの母親が娘の試合を観戦中に心臓発作で死亡という記事。もともと心臓に持病があったとかで、そういうヒトにプロレスなど見せてはいけません。同じく格闘技では、ヒクソン・グレイシーの息子もやはり事故死。名前がホクソン、というのはどういう法則性でつけたものか、そっちの方が気になる。