裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

30日

火曜日

あなたも宮村優子と!

 朝、学研原作一本。鶴岡からまた電話で、業界がらみ情報、ネット情報。なんだかんだと年末は雑用多く、肝心の仕事は進まず。年末が合併号になって一号お休み、というところが昨今多くなったのはありがたい。

 昼一時、女房と外出、近くのパスタ屋でランチ。明太子とシソのピザ。チェーン店だと思って馬鹿にしてたら案外うまかったが、油が悪くて少々胸ヤケ。

 11月に忙しくてとうとう行けなかったパスポートの書き換え。住民票を取るのを忘れて途中で引き返す一幕があったが、無事手続き完了。いつも思うのだが旅券課の窓口というのはどういうものか他の省庁の窓口に比して極めて愛想がよく、雑談少し。受取り窓口の方では初老の係が金髪パンク鼻ピアスのバンド系あんちゃんに、“海外でレコーディング? よかったね、がんばってね”と声をかけていた。

 で、都庁内の書店をちょっとのぞくが、棚のメンツの保守性に一驚。司馬遼太郎立花隆佐高信谷沢永一山崎豊子といった面々ばかりずらりと。一応“カルチャー”という棚があったが、なぜか竹内久美子の本がズラリ並んでいて(都庁職員推薦か?)、いわゆるサブカル系は全滅。岡田斗司夫も東浩紀も宮沢章夫もと学会も香山リカも町田ひらくも(これはまあ、無理か)一冊もナシ。意地になって探したら、隅っこの方に『カラサワ堂怪書目録』が二冊ばかり積んであった(隣に宮台慎司が一冊)が、これは表紙が私のものにしてはおとなしめだからであろう。

 そこから新宿西口を回り、さらに表参道で今日のロフトのネタ仕込み。青山で買い物少しして、一旦家に帰り、青林工藝社などと打ち合わせ電話数本。なをきに資料を送本し、30分ほど横になる。みこすり半劇場に連載が始まった『私たちは繁殖している』、いや、ここで語られている春菊の主張が一○○パーセント事実だったにせよ、読後感のこれほど不快な作品もちょっとない。ここまで不快だと、いっそ痛快だというくらいなものである。これをウリにするならスゴいぞ。がんばれ。新しい父親がやたら背が高くてカッコよく描かれている。巷で言われているようにベンガルの子ではないんか。

 7時、新宿ロフトプラスワン『睦月影郎の変態ナイト』ゲスト。壇上に開田あや、私、風間九郎、ひえだオンまゆら、立川談之助等のいつものメンバー。SF大会でもやった整形手術ビデオを流したら、貧血を起こして倒れた若い男性がいた。女性客たちはキャアキャア言って喜んでいたのに、である。情けないというかなんというか。

 談之助は例により濃いロリばなし、風間さんは猿グツワフェチばなし。私と開田あやで、ナカタニDプロデュースのコンドームの話。ナカタニDといえば宮村優子の亭主であり、彼がプロデュースしたコンドームということは、これと同型のものが、ほぼ確実にみやむーの中に入ったということである。すなわち、このコンドームを装着してコトを行えば、それはあたかもみやむーとの行為をバーチャルに再現するに同じこと、というリクツなのである(そうか?)。これをオタクの夢と言わずしてナンと言うか。観客に配ったら、睦月さんが“僕にも!”と叫んだ。使う気かオッサン。

 睦月さん、自分の写真集を販売するが、売れない、とコボす。まあ、実用性がないとなあ。休み時間にサイン、握手、質問いろいろ。18歳の子がメモを見ながら
「唐沢さんにお会いしたら是非聞こうと思っていたんですが、平凡社とマガジンハウス(旧名平凡出版)はどういう関係なんですか?」
 なんでそれを私にわざわざ。

 終わって関係者総勢15人、おなじみ炙り屋で打ち上げ。1時まで雑談。一峰大二の『スペクトルマン』、復刻のときの描きおろしのアシスタントに加藤礼次朗、中野貴雄、阿部能丸などが参加していて、後ろに名前が載っているとか。

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