裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

水曜日

この矢追の紋所が目に入らぬか!

頭が高い、下がりおろう!

※ホラリオン2『矢追純一vs.皆神龍太郎』

朝10時半起床。
最近起床が遅いのは寝床の中でメール打つ習慣になったため。
自費出版をしたいという昔の知り合いからの問合せに返答したり。

12時、母の室でブランチ、魚の塩焼き、小松菜のゴマよごしで
ごはん軽く二膳。
連休中とはいえ連絡事項多々。

原稿メモ書き、不捗。〆切徐々にせまり、ややあせるも、書けない
ときはこれはまあ、しゃあないと思い放擲。

4時、下北沢へ。
『と学会緊急講座・矢追純一vs.皆神龍太郎』。
ハッシーと構成打ち合わせ。
しかし思えば去年、皆神さんを招いてUFO講座をやったとき、
「来年は矢追さんを是非呼びたい」
と言う結論になり、サテ果たして来てくれるものか、と
半信半疑ながら出演依頼をして、マネージャー氏から
「ああ、その日なら空いてますよ」
と軽く答えが返ってきてからもまだ半信半疑、昨日の確認
電話でやっと実感が湧いてきたくらいである。
イベントプロデューサーの身としては今までいろんな人を
呼んだが、最も緊張する。

芝崎くん、息子さんを連れてくる。もう20歳と聞いてビックリ。
5時ジャストに矢追さん、お一人で飄然とUFOの如く現れ、
みなみな驚いて楽屋へご案内。
「このような芝居小屋でのイベントでまことに失礼ですが」
と言うと、
「いやいや、僕も日テレ時代、アルバイトで芝居やってましたから」
とおっしゃる。作・演出だったそうだ。
やがて皆神さんも来られ、打ち合わせ。

サインに筆ペンが欲しいというので外に買いに出るが、
ちょうど本多劇場の入場待ちの列、小劇場『劇』の入場待ちの列、
それにうちの入場待ちの列が入り乱れて凄いことに。

サインしていただく。
皆神さんは『UFO大全』に、“皆川龍太郎”と(笑)。
私は色紙に“あールナティックシアター“と(笑)。
細かいことは気にしないのがさすが矢追さんというべきか。

さすがに今日は満席、補助席出っきりの盛況。
私とハッシーの登場から矢追さん皆神さんの登場でいやがうえにも
盛り上がり、トーク開始。
『矢追純一スペシャル』のオープニングを流すと大拍手、大歓声。
続いて皆神さんがウィキペディアの矢追純一の項目から、
矢追さんがなぜ、このような番組を作る気になったかという
説の真偽を問うが
「まるきりのウソ」
「これもでたらめ」
「半分は正しいが、半分はあってない」
などと切って捨てるのがおかしい。

最初『11PM』で円盤特集をやったのがそもそもの始まりだった
そうだが、つまらないドラマをやらされてくさっていたとき、
深夜番組に配属を希望し、そこでやり手プロデューサー(立教出の
ハンサムで背広をりゅうと着こなすダンディだが、何故か対面恐怖症
で人と正面切って話せない)Gという人物に、何でもやりたいことを
やれ、尻はオレが持つと言われて、たまたま書店で見かけた本で
空飛ぶ円盤を知り、これをやろうと思った。
テレビカメラを屋上に設置し、夜空を映させてそれをスタジオで
見ながらUFO評論家に語らせる(屋上からのリポートは入社したて
の徳光和夫)考えだったが、まず当時の技術部から、カメラを屋外
に出すことに猛反対。何しろ矢追さんの月給が一万円だった時代に
カメラは一台2000万円以上した。
それを何とかクリアしたら、今度はさきほどのGプロデューサー
から呼び出し。
「お前、宇宙人を呼ぶそうだな」
「はい」
「本当に来たらどうするんだ?」
これはさすがの矢追氏も想定外で、急遽日テレの社長室を応接室に
し、“宇宙人様御控室”と張り紙を張ったそうな。

矢追さんがこれは本当と折り紙をつけた宇宙人映像に皆神さんが
鋭いツッコミを入れたとき、ちょっと矢追さんの口元が厳しく結ばれて
司会としてヒヤヒヤしたが、あとは総体的に矢追さんベース。
皆神さんがソレはどうなんですか、と突っ込んでも
「何せ宇宙人ですから、わかりません」
とイナす。そのイナし方が非常にカッコよく見えるんですね。

休憩の間もサイン求めたり写真撮らしてくださいと寄ってくる
ファンがひっきりなしで、ちょっとお疲れにならないかと気になる。
なんだかんだ言っても74歳というお歳である。しかしサービス精神
旺盛な方で、律義に応じてくださる。
とはいえ、イベントでゲストにサイン求めるときは主催者に許可
求めるのがマナーですぞ、オタク諸君。

後半は矢追さんの因って来るルーツを探ろうという話。
お父上は建設技師で、満州・新疆の都市開発デザインをまかされた
エリートであり、亡くなったときは国葬扱いだったほどだったが、
敗戦を境に一夜にして全てを失い、金も家もなくなり、命さえ
いつ亡くすかわからぬ状態で二年間を過ごした。
この、“現実のはかなさ”を身にしみた体験が、後にUFOや
超能力という、敢て現実から遊離した番組を彼に作らせたのでは
あるまいか? と思ったことであった。

あとはイオンド大学のこととか、ご自分のやられている『宇宙塾』の
こととか。もう、後半に至って、私も皆神さんも完全に矢追ファンに。
会場も拍手、歓声の嵐。
「また特番、作ってくださいよ」
「僕は自分からは動かないんです。みなさんが作れという声を届かせて
くれれば」
「どこに声を送ればいいですかね(皆神さん)」
「それはスポンサーですね、高須さ〜ん(と、私)」
ハッシーがすかさず壇上に高須力弥さんを上げて、“イエス、高須クリニック”
とやってもらい、これも大拍手。

最後は観客のみなさんに“気”を送ります、というヒーリング大会。
まっさきに上がってきたのがNC赤英だったのに笑う。
五分間ほど、気を受けて、大拍手のうちに無事、イベント終了。
サイン、写真撮影(今回はこっちで許可した)の列、引きも切らず。
「うれしいなあ」
と矢追さん、本当にご満悦の様子。
名だたると学会会員たちも、今日ばかりは矢追ビリーバーと化して
いた模様。JAXAの職員という人が写真を撮って
「今日ここで矢追さんと会った記念に」
というので、
「わかりませんよ、前もってスタジオで撮った映像かもしれない」
と茶々入れる(矢追さんはアポロは月に行っているが、映像はスタジオ
で撮ったもの、説)。

「矢追さんが語るUFOのことはこれっぱかしも信じないけど、
しかし矢追さん個人は大好きだ!」
という皆神さんの告白が一番よかった。

楽屋でNC、いま自分の受けている治療を矢追さんに宣伝していた。
佐藤歩が“どこも凝ったりしていないから気を受けられなくて残念”と。
そういう考え方もあるか。
声ちゃんは旦那さんと。乾きょんも来てたし、マイミクさんも多々。
みんな本当に面白がってくれていた。
シヴさんは秘蔵の品を皆神さんに見せてこれは買い物だった! との
お墨付きを得ていた模様。

矢追さん、打ち上げにお誘いしたらなんとOKしてくださったので、
陣太鼓で皆神さん、ハッシー、しら〜、はれつ各氏と。
そこでも矢追さん独壇場。
実家が造り酒屋であったこと、満州時代、亜細亜号の展望室に乗った
経験があることなど、私も皆神さんも聞きほれる。

「ユリ・ゲラーが完全菜食主義になったのは、俺のアドバイスを
聞きすぎたからなんだ。あいつは肉が好きで肉ばっかり
食べていたんで、それだから超能力が落ちるんだ、体を奇麗に
しておかなくちゃダメだ、と日本料理屋につれていったら、
味噌汁に入っている豆腐に感動して、こんな素晴らしい食べ物
があるのか、と言って、それから完全菜食になっちゃった。だから
いまイギリスにあるあいつの屋敷に行くと、出てくる食事が
ジャガイモとかニンジンを茹でた、味のないものばかり。
もっと泊まっていけと言われたけど、すぐホテルに逃げちゃった」
など、ユリ・ゲラーをも“あいつ”呼ばわりする貫録。
皆神さんが子供のようにはしゃいで、なるほど、アイドルに実際に
出会った人間は子供に帰るのだな、と感心。こんな皆神さんは
十六年つきあってきて初めて見た。

ちなみに矢追さんは自分の番組に対する批判などは全く
無視するそうで、と学会という名称も今日初めて聞いた、と
おっしゃっていた(ホントかね? とは思うが。以前、
ラジオでと学会員と名乗って電話インタビューしたのだが)。

11時半ころ、タクシーでお帰りになる矢追さんを見送って、
電車で帰る皆神さんを見送って、残りのメンバープラス本多さん
で麺僧でラーメン食べて今後のことちょっと打ち合わせて帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa