裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

金曜日

兵隊JAXA

勝新太郎・田村高廣主演の宇宙航空開発物語(JAXA相模原
キャンパス一般公開記念タイトル)。

※検査 ショートムービーフェスティバル

朝鬱ひどし。
雨、ざんざという感じで降っているのが窓外の音でわかる。
今日は朝、病院の検査なので8時に起きる。
洗面所で鏡に映った顔を見たら、ゾンビみたいな顔色と表情。
シャワーのみ浴びて、着替えてそのまま外出、タクシーにて病院。

この病院の検査や診療のスムーズなのは予約や受付を全てコンピュータ
処理にしているためなのだが、どうも今日はそのシステムに
トラブルがあったらしい。採血のコーナー、人が待合スペースから
あふれるほど混みあっている。

それでもそこから先はスムーズで、レントゲン、心電図など、
トイレに立つ暇もないほど。心臓はこの数日、一日バクバク状態で
不安だったのだが、心電図とってくれたお姉ちゃん(ちゃんとした
臨床検査技師さんなのでお姉ちゃん呼ばわりも失礼だがこの年齢に
なると茶髪の若い女性はみんなお姉ちゃんである)が
「あ、いい形になりましたね」
と言ってくれたので、ちょっとホッとする。

検査代を自動支払機で払い、施設のナチュラルローソンで買い物し、
帰宅。カットスイカのミニカップとハウスみかんで朝食代わり。
雨はもうあがっていた。そのせいか、午前中に体を動かしたせいか、
鬱はだいぶ解消。日光はいいよ。何でみんな日光が陰る日食なんかに
そんなに騒ぎ立てるのか。昔は不吉な現象の最たるものだったのだぞ。

帰宅、天気いいのはいいがあまりよすぎて暑く、
お中元でいただいた四国のスダチを炭酸水に絞り入れて飲む。
爽快さに全身が洗われる感じ。
昼食は母の室で昨日の残りのチキンカツをカツ丼風にして。

少し休んで打ち合わせメール。
そろそろ本腰入れてかからんといかんものもあるのだが……。
4時、下北沢へ。
途中で携帯に電話、某雑誌から電話でコメントインタビュー。
ざっと話すが、くわしくは明日昼ごろに、と言っておく。

映画祭、本日はプログラムDの『恋愛』。
1・水が無くなった世界で、水に浸っていないと生きていけない少女と
同棲している主人公の物語『NOAH』(頃安祐良監督)、
2・自分が好意を持っている女が結婚すると知り、その彼女の部屋で、
結納の鯛を料理しはじめる男の話『鯛の酒蒸し』(太田博監督)
3・金もないのに自主製作映画を作り始める男たちと、その映画の中の
話がいつの間にか交錯しはじめる『ジュリエット・クラブ』(太田稔監督)
4・ある月夜の晩、友人の結婚式から帰った妻の寝言に、自分以外の男
の名前を聞いてしまった男の心理の錯綜をサイレントで描く
『ワイフ嬢』(上原源太監督)、
5・コインランドリーで出会った年上の、戦隊ものの“ブルー”のファン
の不思議な女性に翻弄されながら惹かれていく青年の物語『wane』
(坂本欣弘監督)。

清水崇監督がいたので脇に並んでいろいろ話をしながら。
そこそこの客の入りだったんでホウ、と思ったが、昨日の夜に来た
清水監督によると、なんと客がたった一人だったとか。
ところが、この後の7時半からの回は満席状態ということで、
最終日はもう前売り券全て売り切れという好評だとやら。
なぜ均して来ないのか、と苦笑。

上映終って、少し清水さんと話す。
今日上映の作品についての感想が一致した。
まあ、誰しもそうだとは思うが、劇場を出たときに、先に出た観客の
感想が耳に飛び込んできたが、それが私と正反対の感想だったので
自分の判断に自信が無くなったが、監督と同じだったのでホッと。

オオゼキで買い物し、帰宅。
豆腐とエビで酢辣湯作り、あとはマグロの中落ちの刺身。
マッコリのソーダ割り、ごく薄くして1パイ半、真露のスダチ絞り
半バイ。

ビデオで高久進氏追悼『九十九本目の生娘』。
まあテレビでは放送できまいが、ソフト化に問題があるレベルとは
思えないのだがな。

脚本としての見どころはいけにえ候補となる女性が変更になる
過程の話の流れが大変スムーズで、変更になるたびに、観客が
ハラハラする度合が高くなっていく作り、そしてその変更がプロットを
“次の段階”に進めるきっかけになっていくのが非常にうまいと
いうことだ。デビュー作とは思えぬ構成力(藤島二郎との共同脚本
とはいえ)である。
沼田曜一が珍しく善人役。前にも思ったが沼田曜一の演技には
役者をやった時の伊丹十三に通じるインテリ部分がある。
この手の作品には欠かせぬ五月藤江の婆さん、これこそまさに
現代ではとてもこういう演技ができる女優はいなかろうというもの。
新東宝のグロ部分を背負って立っていた女優かも知れぬ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa