裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

火曜日

9日〜15日(入院日記)ホスピタルに入りびたる

9日(火)
入院2日目、検査いろいろ。
点滴で利尿剤を入れているらしいが、まだ小水、思ったほど
出ず。緊急病棟の看護師(婦)さん、いろんな人に似ている。
昨日ついてくれたベテランさんは『いつも心に怪獣を』で
共演した木内なおみさんにソックリだったし、
今日、ついてくれた子は龍場舞ちゃんに感じがうりふたつ。
それから吉本の本田みずほちゃんの妹さんか、という子もおり……。
病院食、塩分6グラムカットで味気なくも美味。
病院食も進歩したもの。
今朝の無塩パンはちょっとだったが、昼のデザートに出た冷凍マンゴ、
口にして“ひゃあ、旨い”と小さく叫んだほど。
K子は簿記の試験にカブっているのだが、メールはくれる。
母とオノ、違った時間帯に見舞いに。
オノには原稿受け渡しのことを。
某社社長H氏からメール。退院したらイッパイやりましょうと。
夜さり、また咳の発作あるも、隣室の老人の咳がホール中に
凄まじく響き、あれでよく死なないなと思うほど。
あれに比べれば私など、まだ軽症也。

10日(水)
こんな夢を見た。
私は病院に入院している(まんま)。
この病院は患者を職業で分類していて、私は評論家病棟に入ることになる。
ここの患者のリーダーは呉智英氏である。毎日、日課として出す
評論文に呉氏が評価を下すが、一人、在日の若手評論家がいて、
呉氏は彼に
「もっと自分の立場を強調した、問題性の強い評論を書け」
と指導し、私は
「それはかえって彼の評論の幅を狭めることになる」
と反対する。
やがて彼の病状は重り、それに合わせ評論の論調は過激化し、
評論病棟での評価は高まるが、私はそれは人間の正しい姿では
ない、と思い、とは言え彼のその鬼気迫る姿には感動する、
というもの。
朝飯を一時間遅らせ、糖尿病検査薬“トレーランG”を飲む。
三矢サイダーを三杯くらい甘くした感じの炭酸飲料。
冷えてないのが残念(冷やして飲ませてくれる病院もあるとか)。
その前と後、1時間ごとに血を取られる。しまいには血管に針を
刺すところを探すのに苦労するほど。
緊急病棟故に、いろんな患者さんが、取り合えずこの部屋に搬送
されてくる。さっき入院したおじさん、アルコール依存症の離脱症状の
発作で、さっきまで姪の人と普通に話していたのが、急に
暴れだして大騒動。いきなりベッドを揺るがすけいれんと呼吸困難、
失禁と失神。酒は怖いなと思う。
今日から経口薬ででも利尿剤(ラシックス)出て、そのおかげか
小水、順調に出始める。
母、早めの時間帯に見舞いに来て郵便物届けてくれる。
コミケ当選通知あり。
モバイルは機械の都合で使えないので、白夜書房の原稿などは
ポメラのmicroSDカードでマドに読みとってもらい、編集部に送る
算段をしているのだが『週刊現代』はそれで間に合わないので、
携帯で書いて送る。字数調整がやりにくい!
『世界一受けたい授業』から、このさなかに音声追加録音の要請が
きた。K先生に話して何とか算段してもらう。
隣のベッドの前立腺の患者さん、看護婦(あえてこう書く)さんが
バリカンを持ってきて
「はーい、陰嚢の裏の毛を剃りますねー」
と言うのに大慌てで
「いや、自分で剃ります、剃ります!」
しかし、剃ったあと
「はい、確認させてくださいー。あ、ちゃんと剃れてますねー。
お上手お上手」
とか言われていた。あわれ羞恥プレイ。

11日(木)
小水順調、左足の浮腫が取れてきた。
息のゼーゼーも如実に無くなる。
全て水が原因だったということなのだなあ。
そうなると現金なもので、昼寝のとき、エロっぽい夢を見たりする。
生殖腺も回復してきたということだろう。
私の入院を仮病と噂している人がいるそうだ。
なんで仮病を使わねばならないのか、そもそもその理由が不明だが、
この慢性ベッド不足の中、仮病を使いたいからとすぐ入院を許可
してくれる、そんな便利な病院を一介のモノカキがどうやって
確保できるのか。どうも、私をよほどの大物と思っているらしい。
で、あれば喜んでおくべきか(笑)。
いい天気であり、病室の窓から仰ぐ青空の美しいこと。
梅雨入りしたとは思えない。
某出版社から電話、さすがに会話は病室でははばかられ、
ロビーまで急いで点滴のツリーをガラガラ押しながら。
以前、スタート直後に編集さんの都合で頓挫していた企画をここで
引き継ぐことに、という話なのだが、この出版社の名前を耳で聞いて
一瞬頭の中にイメージされず、ちょっと“エ?”と首をひねる。
あとで気がついたが、某超ヒットシリーズの版元さんであった。
昨日の羞恥プレイのことを書いたおじさん、多分40代後半で、
顔つきも声も立派で、いかにも現場でみんなを指揮している上司、
と言うタイプ。無事検査手術(サンプルを取る)も済み、明日の退院を
前に担当医師からこの一週間くらいの注意事項のプリントをもらって、
「あの…」
と先生に質問。
「この、“お控えいただいた方がいい事項”の中に、“旅行”というのがあるんですが」
「…予定が入っていらっしゃる?」
「あ、ええ、まあ…」
「まあ、あまり遠方でなければいいですが、ここ1〜2週間くらいは
なるべくならお控えを」
「はあ、それと、その次に、やはり控える項目に“入浴”というのが
ありますが…」
「何か予定が?」
「は、はあ」
「まあ、あまり長湯でなければいいですが、ここ1〜2週間くらいは
なるべくならお控えを」
「はあ。あと、同じ項目に“飲酒”とありますが…」
「…予定が入っていらっしゃる?」
「え、ええ、まあちょっと」
「そう沢山じゃなければいいですが、ここ1〜2週間くらいは
なるべくならお控えを」
「はあ。…あ、あと、ここに同じ項目で、“射精”というのが…」
「…予定が入っていらっしゃる?」
「い、イヤ、まあ、あの、その…」
さすがに“そう何発もでなければいいですが”とは先生も
言わなかったが、なにやら新作落語かスネークマンショーを
聞いているみたいであった。
前立腺手術にもかかわらず(たぶん)愛人と温泉旅行計画、
いいぞおじさん、日本男児だ!頑張れ!
“安静療法”がいま、私の受けている治療なのだがなかなか
原稿〆切多々、安静にしてもいられない。
ポメラで書いたメディアファクトリーの原稿、ここの編集部では
microSDが使えないというので、編集部の若い人にポメラごと
渡すことにして取りにきてもらい、夕方、また返してもらう。
これも初めての経験也。向うもそうだろうが。
それにしても、ポメラ、購入前の実験的使用で石黒直樹さんに
お借りしたものであるが、いや、あって助かった。
体調徐々に回復、三度の食事もきわめて美味。
晩方、談笑夫妻のお見舞いあり。
果物差し入れいただく。売れっ子でお忙しい中、かたじけなし。

12日(金)
今朝の夢。
私は病院に入院している(まんま)。
雑居病室だけにいろんな患者さんがいるが、部屋の主みたいな人気者が
10才くらいの男の子で、ひょうきん者で目立ちたがりやで、
看護師さんや入院患者たちのマスコットであるが、それをいいことに
わがままのし放題。同室の患者さん(例の前立腺のおじさん)が、
私を指して
「坊や、このおじさんはテレビとかによく出ている人だから、なにか
面白いことをやってみせればタレント事務所に紹介してくれるかも
しれないぞ」
と言うと、驚いたような顔をして
「ホント?」
という。
「ホントだとも。だが、なにか面白いことをやってくれるかな?」
とわざと威圧的にいうと、そこは素人で怖じ気づいて、それでも威張って
「こんな病室じゃイヤだ。ステージがなきゃ」
と言うので、
「よし、わかった。坊やのためにロフトプラスワンを貸し切りにして
やろう」
と請け合ってみせる。
「そこ、大きいの?」
「大きいとも。2000人入る大劇場だ」
とフくと、真っ赤になって逃げ出した。他の患者さんたちも大笑いで、
前立腺の患者さん、
「子供をあまりからかっちゃいけません」
と私の肩を叩く。なかなか楽しい夢だった。
体重を計るに69キロ。入院時が76キロあったので(たぶん
10日間くらいで急激に増えた)7キロ減、これほとんどが水抜きに
よるもの。いま、このフロアのトイレに私のオシッコを溜めておく
“畜尿袋”というのが置いてあるが、あっという間に1000ミリ
リットルたまってしまうイキオイである。左足の浮腫もほとんど
解消し、久しぶりに足が足の体をなしてみえる。むくみがとれた分、
足の指がシワシワになって象の腹みたいな様相を呈しているのがご愛嬌。
今日は検査漬けで、まずアイソトープ検査をし、しかるのちMRIの
検査をする。車椅子で(検査の時は脈拍とかに影響を与えないよう、
車椅子で移動しなさいと言われている)。放射線科に行く。
と学会のコスプレーヤーおじさんとして有名なIさんがレントゲン技師
だが、放射線科にはそういうタイプが集まるのか、ここの技師さんも
非常にIさんに趣が似ている。アイソトープ剤の注射、やっぱり鉛製の
注射器で注射するのにちょっと感動。
その後は、スキャナーの化け物みたいな装置の下に20分、固定される。
不自然な格好なので結構ツラい。Iさん似の技師さん、装置とベッドで
私をはさむくらいに窮屈な状態にセットしたところで電話が鳴ったので、
しばらくどこかに行ってしまった。
「このまま戻って来なかったらどうしよう」
という、不条理な不安が頭の端に浮かぶ。もちろん、そんなこと
あるわけもないが。
検査自体は何事もなく終了。戻ってすぐ畜尿袋に小水を。
これが夜中にボーッと光ったら面白いのになあ、などと考える。
……この検査は一応無事に済んだが、その後のMRIが大変だった。
もちろん、入る前は“♪MRI〜MRI〜謎を解け〜”などと
歌ってノンキにかまえていたのだが、いや体験してみるとなかなか
ツラいものがあった。動かないように全身を縛りつけられてドラムの
中に入れられる。腹にはきつくベルトを巻かれ、胸にはボブスレー
みたいなものをくくりつけられ、おまけに音がうるさいからとヘッドホン
をかぶせられるので、外見はかなり悲惨なものになっているだろう。
この格好でドラムの中で一時間近く、身動き出来ないままじっとして
いなくてはならない。途中から背骨が痛んでかなり苦しかった。
おまけに片腕には注射針が射しこまれ、必要に応じて造影剤が注入される。
ちょうど昨日の読売新聞で薬物注入処刑の様子を読んだばかりだったので、
あまりいい気分ではない。で、ドラムの中では
「ジキッ、ドン、チー」
「ガギ〜」
というような音が常に流れており、現代音楽みたいである。
この中に一時間近くいると、時間の感覚が狂ってくる。最初のうちは
“息を8秒止めて”“15秒止めて”という指示に正確に応えられて
いたのだが、そのうち感覚が狂いはじめ、15秒が30秒にも感じられて、
死ぬかと思ったほど。汗をぐっしょりかいてしまった。
なんか、まさに『怪奇大作戦』みたいな体験であった!
終ってグッタリしていたら、『世界一受けたい授業』の録音班、
来る。看護師さんたちが最大限の協力をしてくれて、夕看護士詰め所の
隣の“説明室”という小部屋を開けてもらい、追加録音する。
若いスタッフがポカやって、追加画像が見られない状態。
仕方ないのでカンで合わせることにする。
「最初の挨拶を2秒、次のナレーションを13秒でお願いします」
という指示に従って、声のみ入院生活で衰えているだろうことを
勘案して少しハリ気味に、ポンポン、と読んで終えると、
ストップウォッチ見ていたチーフの女性が
「お見事!」
と。13秒ぴったりだったと。
「…実はこの原稿、上がって来たのを自分で読んでみて、どうしても
15秒かかってしまうので大分切ったのですが、センセイなら読めると
思うので、カット前バージョンでも読んでもらえますか」
と言われ、ちょっとマキ気味にしてそっちも読んだ。これも時間ぴったり。
職業を間違えたかもしれない。
ともかく、放送前日にネタ差し替え追加録音という、
テレビなんてのはそんなドタバタの中、作られているんです。

13日(土)
午前中、眼底検査。入院したときは本当に全身にバテが来ていて、
多臓器不全状態、すべての数値がえらいことになっていたのであった。
血糖値も高かったようで、これまでそんな診断をされたこと一回も
ないのに糖尿病扱いをされ、角膜に影響が出ていると大変なことになる、
失明かも、と言われ、センリツしつつ検査を受けた。この商売で失明は
致命傷になる。
ビクビクもので受けた検査だったが、担当医の結論は
「きれいなもんですよ」
というものだったのでひとまずホッと(この先生、私の目を覗いたとき
から「なんともないようだけどね」と言っていた)。体重もまだ順調に
減っているし、ひとまずこの方面の心配はクリアできたようである。
病棟に帰ると、栄養士のご婦人がきて、いろいろと食事について
お説教、ではない指示を受ける。尿はそろそろ絞り尽くしたか、と
いう感じなれども、麻の利尿剤のんだあとはさすがに出る。
68台をもう少しで割る。ラシックスは非常に効果の顕著ないい薬だが
頼り過ぎると危険で、モハメド・ベナジザはじめ、ボディビルダーが
何人も命を落としている(体から水分を落し、筋肉のラインをスッキリ
させるために使用される)。
前立腺のお父さんの退院した後がまに入ってきたおじいちゃん、
“口が開かずものが食べられない”という病気。顎関節症かと思ったら、
なんと破傷風によるけいれんなんだとか。
家庭菜園で農作業していて足を傷つけ(ほとんど血も出ない程度)、
そこから菌が入ってかかってしまったと言う。
農家にはまだ地域的に通常ある病気らしいが都市部では珍しく、
担当の、ベテランらしいお医者さんも、
「僕も破傷風なんて見たのはまだ二度目でね」
と言っていたし、私の破傷風の知識は『八犬伝』どまりである。確か、
治療法は若い処女の生き血をかけるんだったか。そんなこと口走ったら
異常者扱いされる。あ、『震える舌』という映画があった。
あれももっとひどそうな……。
母、郵便物持って見舞い。安彦先生から、直筆のお礼の手紙が来ていた。
恐縮。今日の夜『世界一受けたい授業』だよ、と言うと、
「あら、今日は『MR.BRAIN』があるから見られないわ、どうせ
製作プロダクションからDVD送ってくるんでしょ?」
と言うので、苦笑。
夕方、個室が空いたというのでそちらに移る。
シーツが救急病棟は白なのだが、個室は花柄。
こんなところで差がつけられるか。
個室の代金、ここは下から2番目くらいの室だが、それでも一日
一万六千円以上。あまり長くいると破産してしまう(笑)。
早く病気をよくして退院を早めさせようという病院側の治療の一環か。
夕食後、母に買ってきてもらった果物をむさぼり食う。人間、
最終的に欲するのは酒より甘味、という『刑務所の中』の記述は
本当だな。

14日(日)
個室で迎える朝、やや身分不相応な気もする。
携帯でニュースを見ていて、三沢光晴の事故死を知り、驚く。
私のような力道山、ジャイアント馬場世代にとってはまだまだ
若手、だったのだが。
馬場・鶴田亡き後の全日の混迷のさなかに、渦中に立ったこの人の
苦渋極まる表情を見るたびに、全日には背広組に人がいないのか、
「レスラーにはレスリングに専念させてやれよ」
と思っていたものである。二代目タイガーマスクから三沢本人に“脱皮”
したあたりの、華やかな若武者ぶりが際立っていただけに、この時期の
のトラブルが、脂の乗り切ったレスラーをあたらどうしようもないこと
でスリ減らしているというイメージで、見ていてつらかった。
その後、ノアを立ち上げてからのことはあまり熱心に追いかけては
いなかったが、意に染むレスリングは出来ていたのだろうか。
その死に関しては言いたいことも考えるところも多々、あるが今は
ただ、黙祷を捧げるばかりである。
日曜でもあり、一日徹底してリラックスし、回復をはかる。
昨日で酸素吸入も点滴も取れ、きわめて楽である。
日中、かなり長めの睡眠をとる。
見舞い、K出版しら〜さん、R社Sくん。Sくんからは、同じく
入院中の評論家の某氏の話を聞く。かなり心痛むが、頑張って欲しい。
私など、ましな方である。
昼食のデザートにまた冷凍マンゴーが出る。子供のように喜ぶ。
読書して、携帯で知人にメールし、また窓外を眺めてぼんやり。
病気で倒れたのでなければ、まず享受できないのんびりぶり。
出たらまた所用多々であり、この一刻は千金かも知れぬ。
テレビカードなるものを買い、『ダーウィンが来た』と
『天地人』を見て(『天地人』には失笑)、9時過ぎにはもう消灯して
寝てしまう。その後、朝まで、看護師さんが様子を見に来たときの
数瞬間を除いて、目も覚まさず、ぐっすりと快眠。
オノが妊娠して寝づわりになり、なんぼでも寝られると自分で呆れて
いたが、私も妊娠したのではあるまいかと気になるくらいの熟睡。

15日(月)
朝5時前、快適な目覚め。
「関ヶ原指数」という数値を出す方程式を編み出す夢を見る。
いざ天下分け目という時にある人物が忠誠を尽くすか裏切るかを示すもので、
自軍と相手軍の動員数差に、それぞれの人物の“島左近度”“吉川広家度”
“小早川秀秋度”などの数値をかけて割り出す。計算が複雑で、頭が痛くなって
目が覚めた。
小水のサンプルをとる。
7時ころ採血また。8時朝食、デザートにレモンゼリーがつく。
幼稚園児のようにヤッタ、と喜ぶ。
10時半、入浴券を使い軽く入浴。さっぱりしてベッドに横たわり、
軽いミステリーなど読む。ロバータ・ロゴウ『マーベリー嬢失踪事件』
など。チャールズ・ドジソンとコナン・ドイルのコンビ、
ビクトリア朝風俗描写はいいが、肝心のミステリ部分が小ネタ
過ぎていまいち。とはいえ、何というぜいたくな時間。
体重計測、67.1。明日の最終計測までに66台行くか?
昼飯前にレントゲン検査。このときはまだ車椅子だったが、
夕方のエコー検査のときは看護婦さんもつかず、
「行ってきてください」
と放任状態。回復してくると扱いがぞんざいになるのは病院の常か、
と苦笑。
母、2時ころ見舞いに。最初、扉のところで誰かじっと中をうかがって
いる様子あり、何だか気味悪く思っていたが、後で聞いたらこれが
母で、横スライド式のドアをずっと引いていたので開かなかった
のであった。
サクランボを持ってきてくれて、数年ぶりに飽食する。
夕方、エコー検査。入院時にも検査してくれた技師さんで、
きれいになったねえ、と褒められる。
部屋に戻り、いろいろ連絡等。
K先生から状況説明。あと、残っている症状は頻脈で、できればこの
治療をし終ってからの退院を望んでいたようだが、こっちもそう
悠長にしてはいられず。説明して、明日退院の段取りを組んでもらう。
申し訳なし。
最後の夕食、白身魚のパン粉焼き、ひじきの炒め煮、おひたし。
おひたしの旨さを今回の入院では改めて認識した。炒め煮も、
ひじきだけで油揚も何も入っていないが、おいしくいただけるのは妙。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa