裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

日曜日

シフォン論

全ての労働者にケーキを!

※ミリオン原作 トンデモ本大賞進行台本

ヤクザの手打ちの立会人に指名される夢を見る。そのヤクザ、身内同士で、武闘派の幹部と知性派の幹部なのだが、手打ちの前の話しあいに現れたのを見ると、武闘派が赤のシャツ、知性派が青のシャツだった。どうも私の思考の原点はそういうものだな、と思い苦笑する。

朝8時半起床。入浴して9時、朝食。スイカ、プレーンヨーグルト。
食後、日記つけてアップ。それからすぐにミリオン原作。

アマゾンの古書とネット古書店で数冊、資料本買い込む。いずれも、足で探すと見つかるまで半年はかかると思われるもの。それが指先をちょいちょい、と動かしてキーボードを押すだけで数分で見つかり、クリック一発で買えてしまうというのが嬉しいような怖いような。
一冊、書店さんから
「売り切れてしまいました」
という返事が来たのがあり、残念、と思ったが、すぐ折り返しという感じで
「失礼しました、ありました」
と再報告があった。こういうことがあると、例えネットの無味乾燥なクリックで買った本でも、その末端で古書店主が棚をよっこらしょ、と探している図が想像できて嬉しい。

昼は母の室でつけ冷やし中華。冷やし中華のタレを麺にかけずにざるそばのようにして食べるもの。昨日金払って食べたざるラーメンの10倍おいしい。ただし、酢がきいたタレだけに、あまりあせって啜りこむとむせる。

2時、原作完成、メール。家を出て、事務所へ向かう。事務所で、昨日の打ち合せ結果を反映させたトンデモ本大賞進行台本を作り、MLにアップ。これでトンデモ本大賞のあとの作業はマドに上映用ビデオの製作を頼むことだけ。

5時、タントンマッサージ。女性の先生だったが、気持ちよく揉んでくれて、しばしまどろむ。腕の凝りが凄いと言われた。確かにこの一週間、原稿書きのペースが普段の一・五倍。お盆進行前の梅雨入り進行。

施療の最中に電話。終ってからバックコールする。こないだのアルタイル原稿のナオシ指示。了解する。

新中野に戻り、サントクで買い物。K子にミリオンとDVDデラックスの図版資料を渡す。夜は簡単に、扁炉(ピェンロー)。鶏肉と豚肉と椎茸と白菜の鍋。『男の食べたい料理』というムックで妹尾河童がつくっていたこの料理を覚えたのが、高校生の頃。上京して、弟と共同生活をするようになって作ってみて大好評で、弟と私の食卓は何かと言えばこの妹尾河童流扁炉と、もうひとつ、向田邦子のエッセイで作り方を覚えた豚肉とホウレンソウのしゃぶしゃぶだった。

食べながら『風林火山』。ガクトの謙信初登場を見る。女性説まである謙信役として、適役ではないか? エキセントリックで、ナルシストで、赤い服を好んだ(戦国時代の男性としては極めて異例)謙信というのはかなりの奇人だったようだし。そう言えば、佐々木蔵之介の真田幸隆に六連銭を与える住職役で冷泉公裕が出ていた。『ウルトラセブン』のフクシンくんも、豪放磊落な老和尚を演じるまでになったか、と感慨無量。

そのあと、『家族ゲーム』後半見る。伊丹十三がこの映画のスタイルに影響を受けた、と前の日記で書いたが、松田優作もまた、この作品以降、演技を一変させている、というか、遺作の『ブラック・レイン』まで、徹底してこの家庭教師・吉本の演技のバリエーションである。絶対に、“自分もやりたくなる”演出なんだよなあ。ウイスキー飲もうとするがつまみがなく、古川ロッパの『悲食記』を思いだして、めがね玉子を作って肴にする。もちろん、伊丹十三のように“チュウチュウ”して食べる。1時就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa