裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

金曜日

レオレオ詐欺

 あ、パンジャ父さん? レオレオ。朝、学生時代のイヤぁな記憶を逆なでする夢を見て、冷や汗をかいて目が覚める。高校時代から20代半ばくらいまでは、とにかくイヤな記憶にはことかかないのだが、これは死ぬまで夢に見続けるのだろうか。入浴して7時35分、朝食。スナックエンドウとキウリのサラダ、冷トマトスープとキャベツ炒め、スイカ。キャベツ炒めはちと栄養過多のように思うので、明日からやめる ことにした。

 8時19分のバス。バス停で50代とおぼしき自営業(ピシッとした服装だったがノーネクタイなのでサラリーマンではなかろう)の人が、パソコンの打ち出しに熱心に見入っている。何を読んでいるのか、と何の気なしに覗いてみたら、2ちゃんねる の“眠剤ランキング”。

 仕事場に50分着。10時くらいにTBSラジオから電話で、“もえたん”の話をする。“萌え”がこれだけ流行るのは、情報過多なオタク文化の中で若者の恋愛感覚がオジサン化している表れ、というようなことを話すと面白がってくれた。くれたはくれたが、ここらの部分は“萌え”の根元みたいなところにつながるんで、あくまで “もえたん”ブームへのコメントとしては使えないだろうとのこと。

 立川談笑から頼まれた、“真打ち昇進トライアル”へのエール文、100ワードほどで書いて送る。すぐさまお礼メールが来るところがテレビ人間らしい対応の早さ。交換に(と、いうわけでもないが)業界ウラでのエグい情報を教えてくれて大笑い。その他、世界文化社からいつぞやの山田五郎さんとのラジオでの対談の本も出るというので、その件などをゴチャゴチャ。

 1時弁当、生ちらし寿司。酢飯に厚焼き卵、ヅケマグロ、シイタケ、イクラが乗っている。生もので悪くなるから冷蔵庫に入れておいたのだが、ご飯が少しそのために堅くなってしまったのが残念。天候、快晴なるも雲行きどうもアヤしく体調も予断を 許さず。

 講談社Web現代連載コラムストック三回目を書き出す。今回は構成とかを一切考えず、とにかくネタを詰め込んでみる、という趣向で書く。猟奇ネタなので、変に考察などを加えるとシタリ顔っぽくなるだろうという判断である。それにしても、ここと『FRIDAY』とで、講談社で週刊連載二本とは、一社に大層なおぶさり方。こ れまでは出来るだけ大きな仕事は振り分けるようにしてきたのだが。 書いている最中に電話で、河出書房Sさん。つい執筆に夢中で、打ち合わせの時間をとっくにオーバーしていた。あわてて時間割へ。今後のスケジュールを話す。サブカル系評論家としての最後のトリデ的なこういう仕事は大事にしないと。牧ちゃんの妊娠のことなどを話す。Sさんはマンガ家・ベギラマのファンなのである。

 帰宅、執筆続き。5時45分に完成させて、編集YくんとK子にメール。その後、急いで新宿にタクシー飛ばし、東口『紅房子』。立川流同人誌用座談会。今回の座談会メンバーは元・立川國志館(現・三遊亭全楽)、元・立川志っ平(現・桂前助)、それから元・立川小談林(現・マグナム小林)。それぞれが、運命の8月15日(終戦の日であり、彼らの立川流最後の日)を境に大きく自分の運命を変えていった人たちばかり。圓楽党に入ってすぐ二つ目、いまや真打ながら、基本的には立川流と同じく寄席からは距離を置いた圓楽党にいる全楽、芸協という立川流とは水と油ながら、きちんとした寄席システムの中に初めて入って一からやり直している前助、そして、落語からバイオリン漫談という分野へと“転身”したマグナム。彼らの話を聞いていると、本当に“翻弄”という言葉が最も適当していると思えるほど、人生がオモチャのように扱われている。芸人という特殊な業界の人の話ではあれ、一般社会人たちが自分の運命のカリカチュアライズとして読むことが出来るだろう。面白い原稿になりそうだと思うし、それをプロデュースした談之助のセンスもいい。コミケ『本家立川流』は8月25日(日)、私の東文研ブースの隣U−20b。

 二時間ほど談話録音&メモ取り。途中でユキさんとK子も加わり、食事になるが、この店、数年前までは厨房に本場の名調理人さんがいて、特別メニューなども出しており、リーズナブルでおいしい店、という感じだったのだが、久しぶりに来てみたらメニューも全部番号と写真つきになっている、まずくはないがごく普通の中華、に変わっていた。ちょっと残念。会話は最後、やはり談之助さんの、“昭和の名人”伝の独演会になる。これは持ちネタにしてもいいのでは。地下鉄で帰宅。

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