裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

水曜日

理不尽沼

 理不尽さまの祟りがありますぞ(石森章太郎先生・談)。朝6時45分起床、入浴すませて体重計ったら、2キロ増えていた。暴食のあとは必ず2キロ増える(こないだウチに食事に来た安達Oさんも2キロ増えたとか)。朝食、ピーマンサラダ、キャベツ炒め。新聞に大きく小6女子児童の殺人事件の報。なんでこんなに大きく扱うのだろうか、と思う。長崎の駐車場殺人事件でもうわかったろうと思ってたのだが。今日び、“子供だから”人を殺すはずないだろう、と思いこむのが根拠のない幻想に過ぎない。だれでも、どこででも、いつでも起こして不思議のない事件である。映画でもスポーツでも音楽でも、大人顔負けのことをやってのける少年少女に最近はことかかない。殺人だって犯罪だって、いくらもそういうのは出てくる。いい方にだけ子供 の精神が発達していくわけなど、ないのである。

 通勤、バス停に5分くらいの余裕を持って行くと、ちょうど前のが遅れて到着したところだったのであわてて飛び乗る。仕事場で日記つけ、メール等に返答。増刷なった『トンデモ本の世界S/T』の印税振り分け通知とか。一方で、あまりに雑多なところで仕事しているため、振り込まれたギャラが果たして何の仕事のものであったかわからないのもあり。振込先の会社をネットで調べて、そこに“何かお仕事をいたし ましたでしょうか?”と、情けないメールを送る。

 11時弁当。お菜はこのあいだのメンチカツの中身を使ったハンバーグ、ごく小さいのを二ヶ。中学時代の弁当を思い出して、食べながら泣けてきた。だからといってあの時代に戻りたいとはツユも思わぬのであるが。食べている最中『FRIDAY』Tくんから電話。トリビア系四コマ+エッセイの連載を6月半ばからここで始めるのであるが、そのプレで掲載したGWの『FRIDAYスペシャル』のページが、記事モノではアンケートトップだった由。本家トリビアはそろそろ下火っぽいが、まだこういう雑学系の記事は需要があるな、と実感する。そう言えば、はてなダイアリーのキーワードに入っている私の名前の肩書きが、最初は“雑学系のライター”だったのが、最近“カルト評論家”に訂正されたそうである。“雑学系のライター”の方が通りがいいと思うし、最近は確かにソッチ系の方での仕事の方が多いのだが。

 食事の後にとりかかった原稿は“カルト評論家”としての仕事である、『フィギュア王』原稿。UFO系の濃い人物をとりあげて紹介。11枚執筆に5時間ちょっと、7時近くまでかかる。しかるのち、図版ブツを宅配便で出すべく外に出る。7時過ぎでもまだほのかに明るく、夜とは思えぬ感じ。区役所の駐車場脇のところにホームレスがねぐらを作っているが、そこの側を通ってふと見たら、彼らがペットで(食料で はあるまい)飼っているウサギがいた。どこで拾ってきたものやら。

 そこから新宿に出て、雑用ひとつ済ます。街路でこれもホームレスが売っている安売り雑誌の中に『ヤングマガジンアッパーズ』があったので、買って『バジリスク』をざっと読む。薬師寺天膳、ついに昇天。原作と異なるこの“不死のメカニズム”だと、殺されて生き返ることは説明ついても、“歳をとらない”のは何故、という謎が 残ると思うのだが。

 ヘテから渋谷にまた戻ってしばらく原稿、9時20分頃にタクシーで下北沢『すし好』に行く。カウンター満員でしばらく座敷席で待つ。やがて、フィン語終えたK子と、母が連れ立ってやってくるあたりでカウンターが空き、そちらに移動。ひさしぶりに寿司。ソイ、コハダ、甘エビ、煮はまなど食べる。ひさしぶりで旨かったので、ダイエットと思っていたのにちと食べ過ぎてしまったが、母もコハダやトロがおいしいおいしいと、かなり注文していた。暮らしている三人のうち、ダレが先に死んだら残った者はどう手続きをするか、などということをゲラゲラ笑いながら話す。ヘンな夫婦&親子である。日本酒ロック、つい進んで母に止められた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa