裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

18日

火曜日

金持ち父さん ジャン・フィリップ・トゥーサン

 この人、本業投げ出して日本にサッカー観戦に来てるんだそうで、まさにノンキナトゥーサン。朝7時半起床。今朝も6時くらいに目が覚め、少しネットなど回り、また寝て起きるという状態。しかし寝覚めもよし、体調もすこやか。朝食はベイクドポテトとバナナ、コールドコンソメ。風呂入り、歯磨き等如例。

 朝、同人誌原稿につきK子と打ち合わせ。スキャン画像指定などを平塚くんのところに送るべくいろいろ作業。海拓舎Hさんから電話、“どうですか〜”と憔悴したような声。もう全部送った筈ですが、と言うと、書き足し分の二本がまだ来てないという。一本は送ったつもりで(打ち出しを以前渡していた)送ってなかった。もう一本は似たような原稿が前にあったのを思い出し、書き換えると言ってまだ書き換えてなかった。急いでやります、と答えて、まだ同人誌作業。そう簡単にスイッチングは出来ぬよ。

 原稿書き出すが電話多々。ライターNくんから『ウルトラマンコスモス』騒動についての状況報告。円谷&松竹からダイレクトのものなので信頼性あり、興味深く聞いた。こちらもネット関係で、杉浦太陽支援掲示板のことなど教えてやる。アイドルはいいなあ、こういう“杉浦クンが犯罪など犯すはずがない!”と無邪気に言い切れる人たちがついていて。昔、ファンだった大前均や潮健児がテレビに出られなくなったときは、普段の役柄が役柄だけに“あの人たちが悪い人の筈はない!”とは言い出しづらくて、非常に弱ったものだったが。あとささきはてるさんから、新しい本の企画について電話、企画書FAX。実に面白そう。1時、海拓舎アゲてメール。

 昼はレトルトご飯、ファンの自衛官Yさんからいただいた携帯食のマグロの煮付け缶詰を開けて。濃い味付けでなかなかおいしい。それと大根の味噌汁。明日からオフ会のため2日ほど大阪行きなので、週刊ポスト用の『エピソード2』原稿、書き上げてFAXしておく。沖縄の中笈さんから電話、やはりコスモスのこと、エピソード2のことなど。TBSはドラマの主人公降板が水戸黄門、コスモスと立て続けの御難。談生が日記で“コウモンの次はマンコか!”と呆れていたのが爆笑ものだった。電話しながら、リビングの天井に目をやると、蛍光灯の皿形フードの真ん中に、シミのように茶色い汚れがついている。電話しながら外して、見ると乾いたシミである。電話しながら流しでゴシゴシ洗う。油汚れでもなく、虫などの体液でもなさそう。リビングダイニングの、ダイニングの方にも同型の蛍光灯フードがついているが、こちらには何もそのような汚れナシ。なぜこちらの一方にのみ、しかも何でついたかわからぬシミが出来たか?

 朝から外は雨。3時、資料袋を手に、それが雨滴で塗れぬようカバーしながら時間割へ。柘植書房なるところから少年愛者に関する本を出すというライターのT口さんの依頼で、サブカルにおいての少年愛、というあたりをインタビューされる。冒頭、この本は実は少年愛者(ペドフィル)についてある程度きびしく告発する内容になるのですがよろしいでしょうか、と訊かれる。私の立場(ペドフィルの犯罪性は糾弾したいが、しかし告発し、処罰し、といっただけでは何も解決せず、どころか犯罪を誘発させる恐れすらある。もっと根本的な方法を案出することが必要、というもの)を明記していただけるなら、と確認をとって、いろいろ話す。T氏、私が少年愛者ではないか、と半分くらい思っている様子。SF作家が宇宙人でないのと同じことなのである。ただし、実際に宇宙人が目の前に現れても、SF作家は他の一般人よりビビらぬであろう。それとも同じことなのである。いくつかの点で基本認識の食い違いもあるようだが、逆にまた児童ポルノ法案についての取り組み方や、斎藤環氏の著作への評価など、一致するところがあるので安心する。雨のせいか〆切原稿抱えているせいか頭回らず、3時間ほど話したがあまりいい話も出来ず。

 喫茶店出がけに、“唐沢さんは作家のTさんのゴーストをやっていたというのは本当ですか?”と訊かれてちょっと驚く。Tさんとは確かに一時親交があり、かつその作中に少年愛がよく取り上げられるが、T口さんが訊いたウワサでは、それは唐沢がT氏をそそのかして書かせたもので、一部、私がゴーストもやっているという。少年愛小説ブームは実は唐沢が黒幕だ、という情報がひろまっているそうである。あまりに面白くてゲラゲラ笑う。少年愛について私とT氏がネット上でいろいろ知識のやりとりをしていたのは事実なので、いくらかは状況を知っている人間がネタ元ではあろうが、私がT氏の弟子であったなど、基本的なところでのマチガイも多い。いずれ身内近辺から流れたモノだな。

 帰宅、5時半。すぐにWeb現代原稿、最終回にかかる。最終回なので後クサレの憂いなしに危険ネタをやろうかとも思ったが、結局無難に総まとめ的なものとなる。筆はサクサク進むが、何にしろ10枚あるので、9時半近くまでかかる。途中、またNくんから電話、コスモス情報続き。ウルトラシリーズのこれからも含め、影響の実に多大な事件である。老舗の映画関係会社がいくつか消滅するか、という危険性すらあるんである。とりあえず、あまりの子供たちからの嘆願の多さにかんがみ、撮った分は総集編として、出来るだけ主役を出さずに編集して放映するとかなんとか。主役を出さずにどうやって編集するのか、今頃エディターは頭を抱えているに違いない。卵を使わずにオムレツをつくれ、と言われているようなものである。

 9時半、家を出てタクシーで新宿新田裏、寿司処すがわら。途中でフィン語帰りのK子を見つけてひろう。Wカップも聞かずに仕事していたが、道がガラ空き、新宿になんとなく活気がないのは、こりゃ負けたな、と思う。案の定、1−0。まあ、これが実力ってもんじゃないですか、と話す。いつも来ているヤクザの親分、知り合いのヤクザが亡くなったで通夜の帰りだということだが、弔問客が故人の話そっちのけでサッカーの話していたと呆れていた。この死んだヤクザ氏、病気だったのだが、都内の葬儀場がどこも引き受けてくれず、やっと三鷹の斎場でやってもらったという。最近はヤクザも肩身が狭いようだ。白身、甘エビ、穴子、イワシお造りなど。甘エビが絶品。あと、ネギトロを叩いた後に残ったスジを煮付けて出してくれた。これが実に珍味。帰宅途中大久保を通ったらもう、韓国勝った韓国勝ったで、大きな国旗を振り回しての大騒ぎ。家で、メールいくつかチェック。あの話のネタ元もだいたい、察しがついた。やはり、流れそうなところから流れる。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa