裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

水曜日

コボタン博徒

 お竜が肌脱ぎになると、そこには植田まさしの四コママンガが・・・・・・。朝7時半起床。ゆうべの老酒で足が火照って夜中に困った。もっとも、熟睡感はあり。朝食、サツマイモに葱花湯いつもの通り、それに昨日三越の健康食品売り場で買ったナッツをひとつかみ(パンプキンシード、松の実、クコの実)。このナッツ食というのはあの栄養学の鬼であった川島四郎博士もやっていたそうだが、さて。薬局新聞アゲ。掃除のおばさんが十時に来て、風呂場、台所などを掃除。仕事場は乱雑なままだが、月曜にパソ搬入にくるそうだから、それまでにきちんと整頓しておかねばなるまい。

 このパソコン購入の保証人が弟夫婦。昨日電話で依頼された、弟の新型コピー機導入の保証人が私。保証人制度というのは諸外国にもあるのだろうか。天涯孤独の人間というのはOA機器を所持することも出来ないのか?

 対談原稿ナオシ、バリバリやる。テレビでアメリカ大統領戦報道、流しっぱなし。まれに見る接戦ということで、トトカルチョ屋も大喜びであろう。メールして、マンション下のソバ屋で天丼を食う。プラスチックの柔らかいのを食っているような食感である。タレも、ダシは入っているのだろうが、まるで味わいというものがない、ただの黒い汁である。NHK前ということで毎日押すな押すなの盛況であり、味を向上させる必要がないからだろう。

 2時、西新宿のカタログハウス社。春号用の特集記事のインタビューで、“刑務所の中で読める雑誌”のことを聞く。インタビュイーは元・大阪刑務所受刑者で現在受刑者の身辺相談のボランティアをやっているA氏と、元・長野刑務所教務官のS氏。2時間ほどお二人に話を聞く。現在の刑務所内での雑誌購読は、月五冊という制限を除けば、ヘアヌードも風俗情報も、まずダメとはならない、という自由さにちょっと驚いた。ダメなものはいろいろあっても、それは思想犯や麻薬常習者といった、個別に禁止されるものであり、通常の受刑者は袋綴じ企画であろうと読むことが出来るそうである。ただし、A氏は、“そんなに自由にしては刑というものの意味がなくなってしまう。私は元・受刑者として、規則の緩和には反対である”と主張する。

 絶対にダメ(これも“通常所長許可が下りない”という意味でのダメだが)なのがいわゆる鬼畜系と、それからホモ雑誌。ホモ関係は雑居房の中で実際に手を出される被害があるから、ということである。なら、レズ雑誌も女子刑務所ではダメなのであろうか(まあ、ダメということ)。これは『通販生活』という雑誌の性質上、カットされるであろう話なのでここに書いておくが、××刑務所にはそのテの受刑者が多いそうである。“とにかく、看守の目を盗んだ、あっという間の一瞬にやつら、やってしまうんですなあ”とのことで、雑居房でも就寝時には、お互いの間についたてが置かれるそうである。。その他、記事には残念ながら出来ないいろいろな話を聞く。

 編集のSさんと、今後のスケジュールの打ち合わせをしているうち、連絡の行き違いで、網走の撮影が明後日と思っていたら明日になっていることを知らされる。電話して、確かに金・土でOKもらっていた筈が、通っていなかったらしい。あちゃあ、という感じである。まあ、仕事の上で大した影響がないのが幸いだが、快楽亭の芸術祭参加公演に行けなくなってしまった。お仕事(それもギャランティのいいとこの)だから仕方ない、トホホである。

 帰りのタクシーの中で、運ちゃん、“大統領戦、まだ接戦ですねえ、面白えなあ、ウヒヒヒ”と笑う。やはり選挙というのは人の血を沸き立たせる。家に帰ってみれば共和党ブッシュ氏当選確実。私はクリントンスキャンダルのこともあり、今回はブッシュであろうと予想していたが、それでも、大統領が何か言うと部下が“はい、ゴアさま”と返事をするという図を見てみたかったので、少し残念。・・・・・・と思っていたらなんと! 夕方には当確取消、フロリダ州開票計算やりなおし、だとか。ドンデン返しの連続。日本の報道陣も大あわてと見え、日本テレビの現地キャスター、“このような前代未聞の事態は非常に珍しいことでありまして・・・・・・”。当たり前だ。その他、NHKではブッシュ当確の後にすぐ、“なにゆえにゴアは破れたか”の分析をしたり顔で行っていたが、これで逆転でもしたらどう言い訳するのか。なんにせよ面 白くてたまらない。

 8時半、新宿へ出てK子とすし処すがわら。白身、コハダ、赤貝など。あと、つまみでイカとイワシ。タコ茹でたて。シメはカンピョウ巻。大学時代は寿司屋でタコだのカンピョウだのを食べるなんて野暮の骨頂、と思って見向きもしなかったが、こういうものが好きになるとは、年月というものは恐ろしい。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa