裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

日曜日

(無題)

朝目が覚めたら7時。コミビア、今日はヘビ女の回で楽しみにしていたのに見逃し&撮り逃し。入浴して、メールをチェックしたら『社会派くんがゆく』対談テープ起こしがアガってきていたので、それに手を入れる。かなり今回は補足的な書き込みをする。

8時朝食、バナナ、ミカン。テレビは堤義明一代記ばかり。ゲラ直し続きをやってMLにアップ。

9時半、家を出て渋谷へ。本日使うネタのビデオをチェック。それから東横線で横浜まで。車内読書、『子どもが減って何が悪いか!』(ちくま新書・赤川学)読む。

冒頭で、“男女共同参画社会”の実現が出生率を向上させる、という考え方を“トンデモ発言”、それを示すとされる統計を“トンデモ少子化統計”と称し、「この発言がどうトンデモないかは、すぐあとに述べる」などと、トンデモという用語を“正しく”使っている。今日私はダブルブッキングのため横浜にぎわい座出演なのだが、本来は早稲田でと学会の例会であった。その日にこういう文章に出会うと、「ああ、本当にトンデモという用語も一般化したのだなあ」と感慨を覚えざるを得ない。

そして、1967年生まれのこの著者にとり、文章表現で既成のものを借りることで読者との共通感覚を得る目的で引用されるのが、先の“トンデモ”という語であり、『太陽にほえろ!』の“なんじゃこりゃぁ!”であり、キャプテン・ハーロックの
「男には、負けるとわかっていても戦わなければならない時がある」
のセリフである。まあ、主にまえがき、あとがきの部分ではあるが、本文中にも重い社会学的論考にはさまって、ガンダムのセリフなどが入る。そもそも、タイトルの『子どもが減って何が悪いか!』の元ネタはブライト・ノアの“殴って何が悪いか!”だそうである。

それを、特に理由もなく、当然の文化共有を前提として引くのである。学者という人種にオタクが多いことを割り引かねばならないのだろうが、世代文化の移り変わり現象として非常に興味深い。内容は、著者のオタクならではのこだわり(統計への)が感じられ、説得力があった。

ちなみに、この本を手にとったのはマイミクのルーさんのミクシィのレビュー欄で興味をもったからである。内容についての評はそっちの方がよほど参考になるから読んで欲しい。ルーさんはG社の本職の編集者で、いわば本のプロが、きちんと本を分析し、内容を評価していて読みやすく、なにより、実際に自分の財布から金を出してまで買うべき本か否かの選択をする際の基準として非常に有効な書評である。商業誌のレビューでも、これだけ書籍を買う際の実用的基準になるものはなかなかない。

横浜駅からタクシーで桜木町・にぎわい座へ。舞台で丸山おさむさんがマイクテストをやっていた。楽屋で快楽亭の新弟子、小ブラに初めて出会う。快楽亭のところにいるというより、オタクアミーゴスの客にいそうな顔である。開田夫妻が妙に彼を褒めていたのも理由がわかった。自分のファンたちと同じ親近感を持ったのだな。

少し秀次郎の相手をして、それから袖の音響・照明の係のところでビデオ上映の設備と頭出し、ダンドリ等打ち合わせ。このあいだの佳声先生のときもそうだったが、ここのスタッフの数の多さは異常とさえ言えるほど。どういうシステムなのか。打ち合わせ終えて、外で食事しようと出る。
「すいません、今日の出演者ですか」
と寄ってきた人に、サイン帳にサインを求められる。
「写真が(ポスターに)出てないんでわからないところでした、今度からはちゃんと写真を出してください」
と言われる。

近くの店でカレーを食べて、喫茶店に入る。カウンター入れて10人くらいしか入らない小さな店だが、店内に1950〜60年代のアメリカンポップスのレコードジャケットが一面に飾られていてユニーク。もちろん店内に流れる音楽は“レコードで”かけられている。私の次に入ってきた客も驚いてマスターにいろいろ聞いていた。口ひげのダンディなマスターは二代目で、この店自体は来年で開店60年という店だそうな。コーヒーも大変おいしく、おかわりをした。店名惜しいことに失念、次に来るときは覚えておこう。

で、楽屋に戻ってみるとマグナム小林のバイオリン漫談が終わるところ。続いて快楽亭があがって『味噌蔵』。極めて真面目だが途中、権助がSMラーメンの話をするあたり快楽亭調。客層はどこかの招待の団体が入っていて8分の入り。実は今日の客層が読めず、快楽亭の会だしと思って変態ぽいのも用意してきたのだが急遽変更、ビデオ数本と、テレビ裏話的なおしゃべりで持たせることにする。『トリビアの泉』『世界一受けたい授業』の話。通俗きわまりないネタだが、おじちゃんおばちゃんには非常に嬉しい話のようで、結構受けた。終わって通路で、快楽亭に
「だいぶ口調とか、芸人ぽくなりましたネエ」
と褒められ(?)る。最後の〆がモニョモニョになったのがまだ素人。楽屋には川柳師匠も入っていたが、快楽亭が誘うのでそのまま出て、隣の焼肉さかいで今後の打ち合わせなどしながらメシ。さっきサインもとめられた男性は、この近辺の、ちょっと変わったオヤジだそうで、芸人さんたちは避けているそうだ。

いろいろと話。南湖さんを呼ぶのに、国立の前にこのにぎわい座はどうかという話。このあいだの勘三郎襲名興行初日のチケットは、ネットで三十万の値がついていたとの話。その他梨園のいろんな噂話聞いて驚いたり感心したり。この店、ロースのタレを塩、醤油、八丁ミソと選べるというのがあってこの商品名が“サンタクロース”。“三択ロース”のシャレね。これでウケをとるためだけに、カルビやハラミのタレは固定しているのか?あと、デザートが季節限定でアイスモナカ。名前が“冬のモナカ”。

時間的に余裕があったので、そこで快楽亭と別れ、携帯で連絡とって、と学会の例会打ち上げに参加。アルカディア市ヶ谷のパーティ会場。IPPANさん、植木さん、S山さん、I矢さん、S井さんなどと東京大会の件、打ち合わせ。

S井さんの奥さんと初めてまとまった話が出来た。宝塚のことで、向こうのネットコミュニティでは、私が和央ようかの『ファントム』の公演に“通いつめた”ということになっているらしい。楽行社Hさんとも話せたし、やはりこっちにも参加してよかった。とりあえず、会員諸氏に、これまでの決定事項等説明。大会実行番長のIPPANくんに挨拶してもらう。このアルカディア市ヶ谷、東京大会の打ち上げ会場にどうかという下見をかねていたのだが、やはり料理の量に問題あり、主にK子の意見で却下となる。ウェイトレスにちょっと顔のキツそうな可愛い制服映えの子がいたので未練はあったが。

今日来ていた春風亭昇輔(なんでにぎわい座みたいな寄席に私がいて、と学会例会にアナタがいるんですか、と挨拶)の推挙する店を今度試みてみることにする。「『つなみ』という店です」
「フィリピン料理の店じゃないでしょうね」
東京大会決行へのかけ声は志水さんにお願い。時代劇チャンネルでの『伝七捕物帖』放送記念で“ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨヨヨイ、ヨイ、めでてえなあ”で〆。山手線で新宿へ。

途中で、広告スポンサーを頼んでいた某氏から連絡あり、S山さんに応対してもらう。見事OK。みんなで万歳。これでまた、“一般の大会イベント”に近づいた。丸の内線で開田夫妻と帰宅、ここでも噂話いろいろ。

新中野で別れて帰宅、寒い。ミクシィ日記書きながら、水割り缶一本。Iさんから例により打ち上げでラム酒飲まされたのだが、今日はあまり回らなかった。強くなったか?12時過ぎ就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa