東文研日記

唐沢俊一の“今”がわかる! オノマネの裏モノ日記ウラ日記

28日

火曜日

料理日記・8『魔味粥』

食べ続けると絶対に健康を害し、命を縮めるが、しかしその味は脳細胞に
強烈に焼き付けられ、依存症になる……。
なんか場末のグルメマンガに出てきそうな料理であるが、それに近い。

土鍋に米と水と酒を入れて火にかけ、粥を煮る。

その粥(一人分)につき、腐乳をひとつ(切り分けられているワンブロック)
丸々投入する。汁もどぼどぼと注ぐ。いや、こりゃ多すぎやしないか、と
躊躇するくらいでいい。

さらに、アミの塩辛を加える。魚味をプラスするためである。酒に浸して
ほぐした焼きクサヤでも結構。能登あたりの方なら当然コンカイワシ、
コンカサバを用いるべし。本格的にやりたかったら中国食材店を
探し歩いてあちらの咸魚(ハムユイ)を求めるがよろしい。
最後に卵を割り入れ、皿に取ったら青ネギを散らす。

恐ろしく塩ッ辛く、しかも臭い。
チーズを入れたかと思う人もいるだろう。
一口食べると、脳髄にずーんとその塩辛さと発酵臭が染み込むのがわかる。
自己防御本能が危険信号を発するのがわかる。
しかし、それを敢て二口、三口、舌の上に乗せ続けると、もうアカン。
人間の本能はこういう発酵鹹味に対し、依存性を有するらしい。
まさに魔の味、である。

中にはこれにさらに豆板醤などを投入し、塩ッ辛い上に本当に辛くして
いやが上にも人間の喰う物ではなくしてしまう人もいる。
こうなるとジャンキーとしか言えないが、まあ好みだ、自由である。

これには白酒(パイチュウ。それもマオタイのような高級な
ものでなく、パイカルか二鍋酒みたいな大衆酒)が抜群にあう。
とはいえ、このスピリッツ類がまた、翌朝を地獄にする。
ビールか、せいぜい紹興酒あたりにしておいた方が無難である。

あくまで“酒のつまみ”としてスプーンの端っこにひっかけたくらいの量を
ちびちび食するべきなのだが、たいてい、最後は鼻息荒くしてパクつく
ことになる。皿まで舐めたくなるだろう。

次に口にするまで最低一ヶ月は間をおくこと。
でないと本当に身体がもたない。
女性のいる家だったら、台所、いや家中が臭くなるので、しばらく
作らせてもらえないから大丈夫(笑)。

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