裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

金曜日

そうだ、共和党行こう

 日和見ブッシュ支持者。朝5時半起き、入浴歯磨例ノ如シ。朝食7時25分。バナナ、リンゴ、サツマイモと快便の素材みたいなもの。信州のニンニクミソで。あと、服薬、母の信州土産の百草胃腸薬、小青龍湯、黄連解毒湯、明目仙。8時15分のバ スで通勤。週末の大混み。

 田北鑑生氏から注文あった『このマンガを読め! 2005』なる企画用の、今年(2003年11月〜2004年10月)のベスト5のアンケート原稿を書く。4本は簡単に選べたが、残り一本に推しようと思っていたジョージ朝倉の『平凡ポンチ』の最新刊が読み返そうと思って手元にないことに気がつき、ついでだからと外出してパルコブックセンター(リブロブックセンターに改称)で買ってくる。ついでに東急 ハンズで痛んだ髪用の業務用シャンプー買う。

 日記つけ、いろいろうだうだ。昨日の反ブッシュ派への言及がらみであちこちからリンク張られているようだ。山形さんの名前を出したのは、彼が『サイゾー』のコラムで私のこの日記に言及してくれて、“あんたが心配すること?”とかツッコミを入れてたのに笑ったので、その返礼というだけの意味である。町山智浩氏のブログを読んで、小室直樹の予言またまた的中か、と思った。アメリカを“狂信的キリスト教国家”とずっと以前から主張してきた小室センセイの先見の明恐るべし、である。小室ファンにとってみれば、アメリカという国の建国の基礎が聖書の思想であることなど80年代から常識で、何を今更驚いている、というようなものだろう。

 宣伝になるが、私の同人誌『ジャック・チックの妖しい世界』をお持ちの方はいま一度、読み返してみるといい(お持ちでない方は東文研の通販で!)。アメリカの大衆レベルでどれだけロックや同性愛やドラッグといったものを“憎む文化”が浸透しているかがわかる。ブッシュと原理主義の関係にもちょっとだが触れている(すっかり忘れていた)。問題は、こういう傾向を単なるトンデモと軽く考え(私の本もそのレベルだが)、実は現代アメリカ社会に通底している大きな潮流ととらえられなかった(自分たちの方を大きな潮流とカン違いしていた)進歩派の認識の甘さである。

 ただ、それまでは個人の信念に過ぎなかった宗教観が、国家というもののアイデンティティにまで肥大してきたという事実が興味深い。この日記でも、また『社会派くんがゆく!』でも21世紀の戦争は餓えや貧困ではなく、アイデンティティ問題から起こるとしつこく言ってきたが、今回の結果はその、当然のこととはいえ何か嫌な形 での表面化なのかもしれない(町山氏ほど心配はしていないけど)。

 昼はオニギリと納豆、食べてからまた外出、東急本店通りの新生銀行で個人口座を作る。最初間違えて、シティバンクに入ってしまった。まあ、入ったのが縁で、こちらで作るか、と思い説明を受けたら、常時口座に50万円以上は保証として入れておかねばならないとか説明受けて、あわてて出る。そういうシステムとは知らなんだ。改めて新生銀行に入り直し、無事口座作る。新生銀行にしろシティバンクにしろ、これまでの三菱とか三井とかといった銀行のイメージを変える雰囲気。作った口座に最初一万円くらい預けるか、と思ったらそれも必要なく、入金あるまでゼロ口座でいいとのこと。久しぶりの個人口座作りなので、いちいち“変わったなあ”と驚いてばかり。浦島太郎になったような気 分。

 5時、時間割で幻冬舎Sさんと打ち合わせ。時間通りに入ったが、まだSくん来ていない。どこで待とうかと空いた席を探していたら、奥の席に座っていた女性が、
「Sが遅れておりまして……幻冬舎のYと申します」
 と挨拶。ああ、新人を連れていくとSさん、言っていたな、と思って名刺交換して改めて彼女の顔を見る。これまで幻冬舎に抱いていたイメージとは全く違う、女子高校生でも通るんじゃないか、と思える可愛い人で、へえ、幻冬舎も変わったなあ、と 驚く。今日は驚いてばかりだ。やがて来たSさんに、
「もう、キミはいらない。Yさんが担当してくれるんだったら、ボクの書いた本、全 部幻冬舎文庫で出してもいいから」
 と、アヤウク口走りそうになる。おじさんというのは困った生き物である。

 とはいえ、いろいろ向こうの方で積極的に私の本を欲しがってくれて、これは有り難いことである。文庫の話数点と、来年中旬以降の書き下ろしの本の話をする。仕事の件は有意義だったが、他の雑談部分は共通で知っている困った女性の話などで盛り 上がり、あまりに濃いゴシップにYさんがただ目を丸くしていた。

 一旦帰宅して雑用いくつか。7時半に新宿に出て、鳥源で会食。K子が要するに、また着物を着て外へ出たいがための会であるらしい。S山、I矢の両メンバーに、少し遅れてH川氏。串焼き、鶏わさ相変わらず美味。うずら焼きも、そろそろ旬で、甘さがじんわりと舌に染みる。ここの水炊きのスープは濃厚で有名だが、今日の濃厚さはまた凄くて、口の回りがすぐバリバリになる。スープをすくったレンゲをまたレンゲ置きに戻して、再び持ち上げると、レンゲにレンゲ置きがくっついてくる。それくらい凄い。メローコヅルと日本酒をさんざやって、少し体調悪かったのでかなり回り早い時間だがダウン。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa