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2013年1月2日投稿

つぶやき日記12月10日〜14日

12月
10日(月)菜根譚タンジェント。

処世の術を三角関数で分析。

10時、朝食の卓についたら殻付きの生ガキ。能登のこうでんさんからのお歳暮である。送られたものの、私はほぼ毎晩稽古で家におらず、ほとんどは佃煮に煮たのと、ゆうべ母のところに来た従姉妹たちの腹におさまった模様。さすがに一回も味あわないのは哀れと、朝であるが出してくれた。ワイン付きだったが、さすがにワインは舐める程度にして、レモンだけ絞って5粒ほど味わう。グリコーゲンの甘みが舌にじゅっと染みた

小沢昭一氏死去の報。一緒に芝居を長くやっていた大塚周夫さんがお嘆きだろうな。大島渚『忍者武芸帳』の絶品のナレーション、中島貞夫『くノ一忍法』の、女性の精気を吸い取ってその女性に成り代わってしまう吸精鬼忍者・薄墨友康の怪演、そして『小沢昭一の小沢昭一的こころ』のあの語り口調などが次々思い出される。最大の仕事は『日本の放浪芸』か。1973年、オイルショックで、紙不足となり、
「紙を節約しましょう」
と当時の通産省だった中曽根康広氏がテレビで呼びかけたとき、
「てやんでぇ、オレはぜいたくするぞ。ケント紙で尻拭くんだ!」
と叫んだのが印象的だった。小沢氏は戦時中の節約令の厳しさを知っている世代だ。政府が自分たちの失敗のツケを国民に支払わせるという形が全く変わっていないことに激高したのだろう。

そろそろ衣装合わせ時期。各役者さんからデータ送られてくる。女優さんのブーツなど、いくつも「これでいいでしょうか」「それともこっちの方が」と送られてくる写真を見ても、舞台映えという点では「どれもいいんじゃないの」としか思えない、あまり違いないものが来ることがあって、それでも女性にとってはどちらにするか、凄い決断を要することんだろうなあ、と思うと、いいかげんに「コッチ」とは言えない。

マドから冬コミ用の図版スキャン原稿届く。これにキャプションつけるのがまた、稽古とカブる大作業。だが、単行本を稽古と平行で書きあげたことで、だいぶ「ワレ未ダ衰エズ」の自信はついた。

本日より一日稽古、天沼にて。舞台監督の比嘉さんが見えて、実寸で舞台の大きさをとってくれる。なかなか大きい。やること多岐に渡り、メシ休とるヒマなく、演出しながら、近くのコンビニで買った『海賊むすび』という、四種類の具が入った大型オニギリを齧って昼飯がわり。

5時、中抜けして荻窪駅前ルミネの喫茶店で、17日収録の『時間ですよ新年SP』の打ち合わせ。何人ものスタッフが私をぐるり取り巻くようにしていろいろ打ち合わせする。

50問以上のネタ出しをしたが、番組で使うのはホンの一部。「これはもったいないのでこの次に」と、もう次のことを考えている。今回からの新コーナーに出演のS先生は私の大ファンで、依頼電話かけたときに
「カラサワ先生の出てる番組ですよね?」
と確認されたとか。意外なところにファンありき。実は私もS先生のブログはときおりのぞかせていただいているのだ。

稽古、進捗ちょっと遅れぎみで、それぞれの部門担当リーダーがかなり不安がってきている。いつもの北口でなく、南口のさかなや道場で善後策立てるが、あまり決定的な解決策なし。私も気が弱くなり、陣中見舞に来たマーベリックの歳岡くんにちょっとグチを言ったりする。歳岡くんと共演している21歳の女優さんも来る。何故かそこらあたりからハイになり、饒舌になって、最後に残った二人を前に独演会となる。面白いオジサンだ、と聞いてくれたようでよかったが、ちと反省。

食べたもの。朝:牡蛎、茶碗蒸し、味噌汁、果物。昼:マヨネーズ握り飯。夜:さかなや道場で刺身、トマトてんぷら、生しらす。生ビール、黒ホッピー。

11日(火)壇蜜剣士
エロの隠密、渡り〜鳥〜。

本日の稽古は気分を変えて高田馬場である。思えばここはアンドナウの会で使って知って、『タイム・リビジョン』のオーディションで使ったところ。今回、某女優さんがこの近くの住人なので、じゃひとつ、と(あまり関係ないが)使ってみた。天沼みたいなすがれたところでない(笑)、町の真ん中での稽古はやはりみんな張り切る感じ。これでもうちょっと予約が楽だとなあ。

照明のヨッシー来て照明設計打ち合わせ。ヨッシーという呼び名は本名がヨシダさんなのだが、今は結婚して子供が出来てIさんになっている。にも関わらず呼び名はヨッシーのまま。紹介するときも「照明のヨッシーことIさんです」となる。彼女をヨシダの頃から知っている人でないと、何だかさっぱりであろう。

昼飯は岩田くん誘って『光麺』に。馬場は麺どころで、みんな情報を得てお好みの麺屋に行ってたようで、メシ休終わりには腹を抱えて「苦しい〜」の連呼。バカですか諸君は(笑)

夕方からの稽古、マドも来て、菊ちゃんの写真撮る。主題歌CD作り、彼女の顔写真をCDに焼いて会場で売るのだ。

稽古終わり、10人くらいで馬場駅前の居酒屋チェーンTへ。以前、と学会の二次会をここでやろうというのでみんなで試しに来て、結局ここにはしなかったことがあった。料理うまく酒もよかったが、昼にみんな食いすぎてあまり進まず。にもかかわらずお支払いをみたら、荻窪の1.5倍くらい。さすが高田馬場。町中の稽古場というのも、いいことばかりではないですな。と学会の二次会場候補が外れたのも、値段のせいか?

で、みんな帰るが、もうちょっと飲みたい、というメンバーが、中澤、藤田、大橋で、彼らにつきあって、藤田ちゃんが行きつけという磯丸水産へ。このメンバー、さっきも蕎麦に日本酒とかやっていたが、ここでも利き酒セットなど頼んで飲む飲む。お兄ちゃんがまたノリのいい店員さんで、こっちも役者揃いでノリにノリ、日本酒をひさしぶりに痛飲した。話もはずみ、みんなに温かい言葉をかけられて、ちょっと目が潤む。いい座組をしたなあ。2時くらいだったか、確かには覚えてないがタクシーで帰宅。他のみんなはどうしたのか。

食べたもの:朝:紙カツ、トマトサラダ。果物。昼:光麺。夜:高田馬場・土風呂の後、藤田、大橋、中沢のメンバーで磯丸水産で日本酒かなり。

12日(水)壇蜜同心

死して屍でもいいから拾いたい、って奴、いるだろうな。

朝8時起床。目がぱっちりと開く。これ、他の日記、たとえば江國滋の読書日記などにも記述あったが、自分でも「ああ、これはあしたの朝がつらいだろうな」と思うくらい深酒をした翌朝、目覚めのあまりの快適さに、
「さてはいままで朝がつらかったのは酒量が足りなかったのか?」
と思うことがまま、ある。しかもたいてい、日本酒である。何か体にそういうメカニズムがあるのか。ある程度以上のアルコール濃度になると肝臓がターボ運転はじめるとか。

とにかく、朝がつらくない、というのは実に久しぶり。さわやかだな、と思っていたら、さわやかならざるニュース、北朝鮮の人工衛星発射と、角田美代子容疑者の獄中での自殺。中でも角田容疑者の自殺というのは、世間を騒がすだけ騒がしておいて、嘲笑と共にどろんとこの世から消えたという感がある(本人はノイローゼ気味だったらしいが)。何か、『八仙飯店之人肉饅頭』のラストを連想してしまった。

テレビ、藤村官房長官が打ち上げを発表している。やはり
「長官、いよいよ上がったご感想は
という質問は飛んだのだろうか、などと思いつつ母の室で食事。カツカレーに、こうでんさんの牡蛎でカキソテーを添えるという豪華版。

それにしても、いずれの事件も真相は闇の中。天に怪しげな人工衛星が回り、事実上のミサイルという言葉がニュースで繰り返される滑稽な状況、そして事実上の犯人がついに犯人と呼ばれず昇天する。……そんな中、世俗を離れて一日稽古の生活。

出演者の一人が急遽休み。腹具合が悪いそうだ。ノロでないことを祈る。劇場で発生したら公演中止である。芝居というのは凄まじいリスクの上に成り立っている。保険とかかけておく必要があるよな。

天沼の1日稽古だが、昼間は松ちゃんにまかせて、小道具・衣装等選びに回る。中野、新宿など。揃えたいものは揃ったがまだ肝心のラストシーンの小道具の工夫がつかないのが頭の痛いところ。夕方から夜10時まで、通し稽古。大橋くんが女性陣(女の子四人組の殺し屋で“KGB48”というユニットを組ませている)をいいようにいじるのが楽しくて仕方ない。

さすがに今日は飲みにはつきあわず。家で原稿書き。1時過ぎに簡単な食事して寝る。

食べたもの。朝:カツカレー(牡蛎ソテー添え)、果物。昼:抜き。夜:ホウレン草と豚の簡単鍋、トマト、イカ刺し。エール。

13日(木)壇蜜すがめつ。
矯めつ眇めつ:あるものを、いろいろの方面からよく見るようす(エロ)

今朝の夢は、両親に、引っ越したばかりの家(かなり豪華)を紹介するというだけの内容のものだったが、やたら恐かった。ここが台所、ここが居間、と案内するのだが、ここが訳あり物件であるということを私たち夫婦も両親も知っているのに、口に出せないでいる。私も両親もわざとらしい笑顔を満面に浮かべているのがなお怖かった。短編でこれでホラー小説を書いてみようかな。

昨日のことだが、アンドナウの会のTさんから電話。来年の夏コミの話だからまだ半年以上先だが、依頼していた表紙、スゴい方からOKの返事が来たとのこと。ちょっと興奮する。

いろいろイベント、公演等のお誘いが来るのだが、稽古に入っているので不義理しまくり。12月の頭にやろうと思っていてタッチの差で他の劇団に押えられてしまったので仕方ないが、年末の公演はもうすべきでないと思う。

『フィリピン、日本の再軍備多いに歓迎』http://www.j-cast.com/2012/12/11157695.htmlいやフィリピンばかりじゃない、インドもベトナムも多分大歓迎。日本のリベラルたちは近視眼で、アジアというと中国と韓国しか見ていない。特に中国のアジア支配戦略を背後から牽制している点で、日本は最後の砦なのである。


朝11時半、新宿でKGB48の女優さん4人と待ち合わせ、衣装買い出し。コスプレ衣装店いろいろと回って、結局ドンキになる。いや、最近の若い子たちは自己主張しっかりしている。ああでないこうでないとお互い譲らず、おじさんアテられっぱなし。

稽古、天沼和室。不捗。台本のセリフナオシや立ち位置変更などの算段ばかりエンエンで、全体像、完成像がさっぱり見えてこない。どう考えても失敗作になりそう、という意識ばかりが先にたち、全てをなげうちたくなる。誰かノロウイルスにでも感染して、初日全日に公演中止にならないかしら、とも考える。

それでもみんな一所懸命に動き、芝居し、ラスト近くで何とか形がついてくると、今度はうむ、これはいいかも、と思えてくる。意識の振幅が大きいのはシロウトの特長で、いかんいかんと思う(プロは経過がどうあれ、最後の到達点には自信を持っていないといけない)のだが、長丁場の稽古でこういう時期は、(おそらく、であるが)ニナガワもノダも通過すると思う。

松ちゃんから、「(下北沢の)田中屋に行ってみませんか」と提言。昨日だかおとついだかに見て、あ、行ってみたいなと思っていたところである。イイネとみんなを誘ってGO。大人数だったのでちょっと待ったが、無事入れた。

大阪の串カツで「二度漬け禁止」で有名な店。ハッシーたちと大阪のオパンポン観にいった帰りに入ったのも田中屋。女性たちはバナナの串揚げに興味持っていた。

ここには『肉吸い』がメニューにある。肉入り吸物。大阪の『千とせ』という店が、吉本に出前したとき、二日酔いの芸人から「肉うどんのうどん抜きというの、出来へんか」と言われてメニューに加えたところ大人気の定番メニューになったという。この店は東京で本場の肉吸いが食べられる貴重な店であるが、残念ながらご飯(ライス)がない。卵かけご飯と食べてこその肉吸いなのに!

酒談義。誰とは言わないが若手の女優さんが「私、赤ワインだめなんです」と。「飲めないの?」と訊くと、「いえ、好きで飲みすぎちゃうんです。過去二回、家に帰りついたら庭の植え込みに荷物、玄関にコート、廊下に上着、寝室に下着、と脱ぎ続けて、すっぱだかでベッドで寝ていたことがあるんで」と。それを聞いたみんな、きょろきょろと壁のメニューを見て「赤ワインないか?」と(笑)。

食べたもの。朝:チェリーパイ、ソーセージパン、缶コーヒー。昼:海賊むすび。夜:田中屋で串揚げ。肉吸い。黒ホッピー。

14日(金)ダンミッツの怪
あれは地球の生物でないエロさだ。

稽古休み、とはいえもうやること山積。朝は卵かけご飯。ゆうべは肉吸いのみ、今朝は卵かけご飯のみで、時間差で千とせの「肉吸い+小玉」を体験。

2時、渋谷に出て宇田川町交番前のサカゼンで松ちゃんと松ちゃんの衣装買い出し。ちょうど大きめサイズの礼服がセール中で助かる。そのあと、兆楽でメシと思ったが満席なので隣の『龍の髭』でラーメン&チャーハンの定食。残念だが生ぬるい味に堕落してしまった感あり。

ズボンの裾上げを待つ松ちゃんと別れて東急ハンズ等回る。渋谷に住んでいたとき、この町独特の年末風景は好きだったものだが、あの頃は忙しいとかあわただしいとか言っても、まだ余裕があった。忙しさは加速しているような気がする。

電話で『タカトシの時間ですよ』打ち合わせ、その後しばらく横になって休む。4時半、タクシーでお台場カルチャー・カルチャーまで。お台場に行くとなるとどうしてもビッグサイトに行く、というアタマになってしまい、観覧車下まで行くのに少し迷う。

到着して、楽屋に。皆神さん、新田五郎さん、川口友万さん。ムシモアゼルさんも手伝いに来ている。編集のTさん、いろいろと立ち回って働いている。イベントやる者として主宰責任者の大変さには同情してしまうなあ。

村田らむ君など、知人もたくさん。IPPANくんが、飯塚昭三ご夫妻が迷ってらっしゃるらしいので迎えにいく。いつものことで差し入れいただく。

トーク開始。司会役をうけたまわり、いろいろとジョーク飛ばして客席を盛り上げることにつとめる。最初の新田さんの発表が馬鹿受けなので盛り上げなくてもまあよかったか。皆神さんの発表がかなり時間を食ってしまい、あせる。

休んで後半、川口さんのレーザー実験、それから私の発表は『クリズウェルの大予言』、これもかなりウケて結構でした。飯塚さん、奥様はと学会大ファンなので大笑いしていらしたが、ご本人はチンプンカンプンだったよう。時間が時間なので打ち上げもなく、ギャラは売上げの割なのでウン千円。それ貰って、原稿があるのでタクシーで帰宅。往復のタクシー代で1万数千円かかる。金もうけのためのイベントではないのでそれで結構。

家に帰ったのが11時過ぎ、そのまま同人誌原稿にかかる。がりがりと書き進め、途中でレッドブルなど。明け方4時に何とか完成。ホッとして、そのままではテンション上がって眠れないので、発泡酒など。よくまあこの歳でこんな無茶をやる。しらじら明けの中飲んで少し神経休め、6時ころ就寝。いろいろとやった(やり過ぎた)1日だったが、いちばん達成感あったのは、前から気になっていた足の指のツメを切ったことだったりする(笑)。

食べたもの。朝:卵かけご飯。白菜漬物。果物。昼:渋谷『龍の髭』で松ちゃんとラーメン、半チャ。松ちゃんはチャーハンと半ラ。深夜:原稿書きの後、ハマグリダシで白菜と豚バラの鍋。発泡酒。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa