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2012年12月28日投稿

つぶやき日記12月5日〜9日

12月
5日(水)『007/黄金餅を持つ男』

「銃で蛇を撃ったらへービーチーデー」

酔って帰宅してそのまま寝た朝、必ずやることが「あ、携帯!」と枕元をさぐること。まあ、今は目覚しを携帯でやっているから、まず無くして気づかないということはないわけだが。ゆうべベッドで書いてアップしたmixiのつぶやきを見たら、
「11時過ぎまで客はわれわれ二人あ゛
で切れていたww。寝オチしたらしいが、どうやってアップしたのか? 「あ゛」とは何か?

http://www.kajisoku.org/archives/51820965.html『ギャングに夫を殺され内蔵破壊され人工肛門を付けて「死ぬまで戦う」と宣言していたメキシコ女市長がとうとう暗殺される』殺されていたのか。子供の身代わりにマフィアの車に乗り込み処刑って、凄絶すぎる死に方。黙祷。

T社О氏とゲラ打ち合わせ。О氏は酒が飲めず、代わりにかなりのヘビースモーカーである。なのだが、新中野付近には全席禁煙のヴェローチェしか打ち合わせに適した喫茶店がなく、気の毒である。

6時18分ころ、中村勘三郎死去の報が流れて驚く。マイミクさんからの情報は正しかったようだ。家元が呼んだか。快楽亭の『立川談志の正体』に、談志が亡くなった日に勘三郎が散歩中の快楽亭にバッタリ会って、「家元が亡くなって寂しいでしょう」と声をかけるくだりがある。まさか一年ちょっとで自分も亡くなってしまうとは思いもしなかったろう。

詳しくは訃報日記に書くが、私はこの人の芸風は歌舞伎の伝統の中では異端、邪道だと思っている。歌舞伎の本来の演技とは似て非なるもの、小劇場の舞台のそれだ。その、異端・邪道な芸が、歌舞伎を伝統のワクの中のものから、現代につながるものへと大きく変化させた。変化は異端・邪道の中からしか生じない。思えば立川談志の落語も同じ性質を持っていた。気があったのもむべなるかな。

某打ち合わせで時間とられ、結局稽古、出られなくなる。体もひどく疲れている。書き下ろしの余波が一気に押し寄せた感じ。まだ時間があるこの時期で幸いだった。稽古は演出補の松ちゃんにまかせる。

乗ったバスで、美少年がせんべいをぼりぼり食っていたが、私を見てぎょっとしたような目をして、それからずっと私の方を見つめたまま、ぼりぼりせんべいを齧っていた。どっかで見たオヤジだ、と思っていたのであろう。どこかで、という段階でまだまだですな。

本日食べたもの。朝:田舎風煮物と栗おこわ。栗は能登からのいただきもの。うまくていかん。長野のヒコクさんから到来のリンゴ。昼:いろいろゴタつき抜き。夜:かなり遅く銀ダラ入りチゲ、イカマヨポン。発泡酒、黒ホッピー。

6日(木)『007/中村主水は永遠に』

「人工衛星を打ち上げて、地球上全てのテレビに必殺仕事人をエンドレスで流すのだよ」(ブロフェルド・談)

朝4時起き出して仕事し、7時に就寝、10時起床、朝食。昨日はスケジュール管理まるでダメでいらついていた一日だったが、気がついたら右奥歯の腫れがすっかり治っていた。何かいいことはあるもんだ。『Always look on the bright side of life』じゃないが、そういう気分でやっていこう。

食事後・二度寝。その際の夢。私は作家にして男子バレーボールのオリンピックコーチである(!)。特別合宿所は北欧風の渋い山荘だが、部屋は畳敷きの日本風。特訓が続くが、ある日私の原稿を取りに美人女性腕利き編集者が乗り込んでくる。この編集者は私の恋人でもあるが、選手たちをその魅力でとりこにしてしまう。と、いうところで続く!ww

ベッド読書『宗教を生み出す本能』(ニコラス・ウェイド、NTT出版)。面白くなくて弱ったまま読みすすむ。70ページ過ぎてやっと面白くなってきた。

文芸社『トンデモ本の新世界』、二刷決定! こいつは暮から縁起がいいわえ。今回の本は山本会長、皆神龍太郎の二大柱の両氏が仕事の都合で各々一本しか書いておらず、新田五郎さんと私という、ある意味(トンデモの本流から言えば)二の線の二人が主な執筆者という形であった。そこで重刷がかかるかどうかというのは、私のと学会員としての鼎の軽重を問われることでもあったが、新田さんのおかげもあり、まずクリアできたようでひと安堵。

12時、家を出て尾山台まで。今日は舞台の主題歌を収録するのである。ちょっとワクワクである。尾山台という駅には生まれて初めて降りるが、時間ぴったりに到着。駅前のコンビニのATMで金をおろしていたらグレート義太夫さんから声をかけられる。義太夫さんの車で二子玉のスタジオへ。

今回はモンティ・パイソン風に、大真面目にまったく意味のない歌詞をつけた歌を作ろうと意識して作詞した。しかも英語の詩である。韻をつけるのに苦労したが、韻を踏む単語を探してくれるサイトなどもあって何とか完成。英語のチェックは、義太夫さんが、殿(北野たけし監督)の英語の先生であるグレッグというイタリア人(英語の先生がイタリア人なのかい!)に頼んで、文法的におかしいところなどをチェックしてもらった。もちろん、あえてギャグっぽい文法にしている部分もあるが。

『From Russia with DEBU』
                     作詞:唐沢俊一
                     作曲:グレート義太夫
                     歌 :菊田貴公

I cannot bear you came from Russia so “DEBU”
Why are you so fat?
You look a completely ugly wombat,
Even if you are wearing a foppish hat.
You are overeating Borsch,Pirozhki,and Caviar.
Moreover, you drink a lot of tea with sugar,
Made with Samovar.
You are much fatter since my last goodbye to you.
Start a diet by eating Tofu and Connyaku.
And, I will love you again.
Start a diet, Don't eat biscuits and cookies.
Then, I will love you again.
God -- Slimming him, Amen!

菊には絶叫調(『Goldfinger』のシャーリー・バッシー風)を要求。何度もリテイクして、満足のいくものになった。

CDに焼くのに二時間ほど、三人で雑談しながら待つ。そこから二子玉川駅まで送ってもらい、天沼の稽古場へ。今日は現場の舞台とほぼ、同じ大きさの稽古場。殺陣などもリアルな動きで出来る。

稽古中に義太夫さんからメール。なんとBGMに重大なミスがあったらしく(聞いてるこっちは全然わからん)、音楽だけ明日までに収録しなおすとか。丁寧な仕事ぶりに恐縮。

終ってお好み焼き屋に。だんだん芝居の形見えてきて、役者連も気の入れ方が違ってきた感じ。明日が休みということもあろう。

食べたもの。早朝:チゲの残り汁にご飯を入れておじや。朝:煮物と栗おこわ(昨日と同じ)、リンゴ(昨日と同じ)。昼:時間なく抜き。夜:役者連とお好み焼き。ワイワイとにぎやか。


7日(金)『007/ドクター・オノ』

オノデキタ医師が放射能で……(案外原作に忠実)

暴力肯定の夢を見てしまい、嫌な気分。もっとも、「靴をよこせ」と言ったらコーヒーの粉の缶詰を渡されたのでカッとして投げつけるという程度の暴力。



朝食のとき、サーモンのはさみ漬けの試食をさせられる。正月の来客用だとか。そうか、世間はもう正月の準備にかかっている頃なのだな。

こっちの暮の準備と言えば

冬コミ原稿図版整理。しながら
「と学会イベントの発表ネタも探さないとな」
と思っていたら、コミケ図版本の入っている段ボールの中にドンピシャのを発見
。神様は今日、ご機嫌がいいらしい。逆に言うと、しまった、

本の中で使えばよかった、というくらいのネタであるが。

今日の稽古休みを利用しての、スタッフとの打ち合わせ飲み会がいろいろ事情あってトンだ。残念だが勘三郎追悼特番が見られるということか。

脚本なおししていたら、17時過ぎ、ぐらり、と揺れが来た。あの大震災のときも同じ仕事場で揺れを体験しているが、あれ程ではない、と瞬間的に判断はしたものの、あれ以来の余震としてはいちばん大きいものであった。しかも揺れが長い。3〜4分ほど続いてやっとおさまった。

テレビでのNHKのアナウンサーの、避難を呼びかける声調がむちゃくちゃに緊迫感あり、というかあせっているように思え、不安をかきたてる。後から知ったが、これは先の震災で避難を呼びかけたのに応えないで被害にあった人々が多かったので、緊迫感ある呼びかけに敢て変えたそうである。なるほどとは思ったが、沈着冷静をイメージとするNHKのアナウンサーがうろたえている、と、パニックする人も多いのではなかろうか

勘三郎追悼番組(フジ)は夜9時、通常通り放送された。新居を建てるというエピソードが中にあったが、
「働き盛りに家を建てると死ぬ」
という迷信を思い浮かべて不吉な感じがしたのも、主人公が伝統と縁起を重んずる梨園の人間だからだろう。これで関係者の間では
「ああいうことを軽んじちゃいけないよ。中村屋のときだって……」
と年寄りたちがずっと楽屋で語り続けるに違いない。私は、それはいいことだと思う者である。

夜食は白菜と豚バラ肉の常夜鍋(本来の常夜鍋はホウレンソウだが、白菜の残りがあったので)。何の変哲もない鍋だが、私はダシにハマグリを使う。鍋に水と酒を張り、昆布とハマグリ(国産中粒三個)を入れて火にかける。白菜のザク切りと豚バラ薄切りを加え、白菜がクタクタになるくらいまで煮て、ポン酢で食べる。単純極まりない料理だがハマグリ(三個360円)加えるだけで絶品の鍋に

食べたもの。早朝:いちご白くま。朝:切り干し大根の煮物とはさみ漬け、果物。昼:おむすび二個。夜:白菜と豚バラの鍋(ハマグリだし。ハマグリは偉大)、蒸し牡蛎、マッシュルームサラダ、トマト、ニラお浸し。発泡酒、黒ホッピー。

8日(土)『007/やぶさめの報酬』
「屋外イベントでアトラクションに流鏑馬を! ワンステージのギャランティを今ならサービス料金で……」

体調最悪。全身ダルく、手足の先がしびれ、頭の後ろが痛む。全て気圧乱調の症状である。日本上空で気圧が冬型配置に完全に入れ替わっているのだろう。

それでも残務山積、ハエトリ紙から身を引きはがす思いで起き上がり、ヴェローチェでマドと打ち合わせ。同人誌用の図版を渡す。

その後、あまりに肩がギンギンなので、開いている整体サロンに飛び込む。「痛いところは腫れているんだからさわっちゃいけない」と揉んでくれず、皮膚を摘まんで引っ張って、

「こうするとその下の血管に血が通うようになる」

という不思議な整体だった。とはいえ、気のせいかだいぶ苦痛軽減。

夕方まで、脚本のナオシ。キャラクター変更に伴い、内容もかなりキャラの特性に合わせて変えねばならない。あれをこうして、これをああして……と考え、執筆。まだまだ完成にはほど遠いが、昼飯は作ってもらったオニギリをほお張って頑張り、ああでないこうでないと試行錯誤の末に何とか満足のいくものを書き上げる。

で、稽古場に行く1時間前にプリントアウトしようとしたら……パソコンが強制終了。4時間かけて書いた原稿が全て飛ぶ! ……しばし呆然となる。こういうことってあるのか。

とはいえ、稽古場にはいかねばならず。天沼まで行き、状況を説明し、(内容は頭にあるので)もう一回、書き直してくるからと言って、後は島さんと松ちゃんにまかせてタクシーで仕事場に引き返し、2時間で再執筆とプリントアウト。それを持って天沼に引き返し、コピーして配布。本当に死ぬかと思った。

その後、稽古続け、終ったあと、荻窪ホルモンで飲みながら演出いろいろつける。ひどい目にあったが、まず何とか首の皮一枚でつながった。今日はしかし、何たる日ぞ。

食べたもの。朝:白菜の漬物、蓮きんぴら、はさみ漬け、果物(柿とリンゴ)。昼:おむすび二個。夜:ホルモン焼屋で生ビール、黒ホッピー。

9日(日)『007/ユア・マザー・イズ・オンリー』

「あなたの母親はオンリーさんである」(快楽亭ブラック師匠に)

朝4時起床。ベッドで週刊朝日のハシシタ記事、改めてじっくり読むが、なるほどこりゃひどい。私も橋下は好きではないが、しかしなぜここまで人格否定、存在否定の悪罵を投げつけられないといけないか、その行為を許容されるものと行為者が思い込むのか。ネットの炎上などでもそうだが、単に一般社会と異る意見を持つ者をパブリック・エネミーと認識してしまう性質が情報化社会の欠点としてあるのだろう。

5時からほぼ4時間かけて『時間ですよ』新年特番のネタ出し。さすがにバテた。腹が減ったのでコンビニ弁当のチキンカレー。

義太夫さんから音楽完成版届く。映像担当の山口A二郎さんに転送。プロデューサーの仕事というのは才能ある人間を見つけてくることで、見つけ出したら全て一任し、素人判断で口を出さないこと、とはわが師・平山亨の言。

1974年の『奇想天外』誌(盛光社)を読んでいたら、野田“大元帥”昌宏氏が、ポール・アンダーソンの娘アストリッドが19歳の時にデジャ・ソリスのコスプレ(当時はまだそんな言葉がなかった)をしてSF雑誌『ALGOL』のグラビアを飾ったヌードのことを書いていた。

野田サンは“武部本一郎のイラストのイメージを壊す”としか言ってなくて、写真そのものは版権の関係上掲載ナシ。読んだ当時(高校一年)の私は笑っていたが、 38年ぶりにその文章を読んで、ムラムラと見てみたくなり(笑)、検索したら出てきたですよ、そのヌード。いやあ、インターネットてのは文明の利器ですなア。

http://www.costume.org/gallery2/main.php?g2_itemId=106572
『ALGОL』に載った写真そのものではないと思うがこれ。最近の映画のデジャ・ソリスより好みかも(笑)。・・・・・・しかし、エッセイ中にある野田サンのコレクション収集の苦労話がかえってSFに思えてしまうほど、インターネットてのは世界認識を変えたんだなあ、と、ちょっと不思議な気分になったことであった。

ちなみにその後アストリッドは父と同じSF作家のグレッグ・ベアと結婚している。SFオタク女の理想型の人生。現在の顔はAstrid Andersonで画像検索すると出てくるが、あまり調べることはおすすめしない(笑)。

ディーン・R・クーンツは著書『ベストセラー小説の書き方』で、SFを書くな、SFは読者層が狭すぎてダメだと言っているが、狭い世界には狭い世界ならではの、過呼吸症状的な高揚感があるのも確か。芝居の世界など、その最たるものだろう。毎晩の飲みなど、この状況が永遠に続けばいいのに、と思うくらいだ。この世界でメジャーを目指すということはその快感を自ら否定することという矛盾をはらんでいる。来年あたりから、その矛盾を自ら目指さないとな。

稽古、やっと後半進み出す。もっとも、急場のものなので前後の矛盾、それから実際の舞台では不可能(上手と下手の、いる位置の違いでかなり出来ることが違う)なので、その整理など。6時から9時の3時間では利かず、最近はギリギリの10時まで使うこと多し。その後でメシ&飲みでさらにいろいろ話し合う。松ちゃん、大橋くんなど、ほぼ毎晩終電逃して朝までらしい。中毒ですな。

食べたもの。早朝:チキンカレー(コンビニ弁当)。朝:ウェスティン豚、はさみ漬け、果物。昼:抜き。夜:胡同101で中華。アルコートーをホッピーで割って。やはりかなり悪酔い気味になった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa