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2012年2月10日投稿

シトッピ 【訃報 対馬孝且】

元社会党参議院、対馬孝且氏、7日腎不全で死去。

現役時代、札幌の実家の薬局に(近くに当時社会党の事務所が
あった縁で)秘書を連れてよく買い物に来てくれていた。
お得意さんだったのだ。
炭鉱労働組合の委員長出身。
いかにも当時の野党の政治家という感じのオーラが小柄な身体から
発散していた。

北海道なまりバリバリで、まったく気取ることなく、胃腸薬の
『ユチーフ』というのが常備薬だったが、読み間違えて『コチワ』
と覚え、最後までコチワくれコチワ、と店内で大声で叫んでいた。
一回の店内滞在時間は10分もなかったと思うが、あれくれ、
これは何だ新発売か、きくのかね、あの店員は最近顔を見ないな、
どうした? などとのべつに声を発しており、帰ると嵐が去った
後のようだった。

とにかく訛りが強く、選挙のときのラジオによる政見放送で、
ストップというのを訛って
「中曽根政権の横暴にシトッピをかける!」
とやって、しばらくわが家ではこの先生をシトッピの人、と呼んでいた。

あの訛りが、ひとつの武器だったのだろう。
地方の労働者にとり、言葉は同じコーホート(同じ出自のグループ)を
見分けるキーである。彼が国会で、あの訛りで質問するのは、
まさに自分たちの代弁であって、なんとも頼もしく見えたことだろう。
あの訛りは選挙民に対するシグナルのようなものであり、あれで
この人は票を確保していたのだと思う。要するに田中角栄の
とった手法のコピーであるが……。

ともかくも、今の議員は地方議員であってもきれいな標準語を話す人が
増えて、対馬氏のような郷土の個性をムンムンと発している人が少なく
なってしまった。やや、寂しい気がする。

7日死去、86歳。晩年まであちこちの集会に顔を出し、政治関係
の情報収集は現役のときと同じく続けていたという。ご冥福を祈る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa