ニュース

新刊情報、イベント情報、その他お知らせ。

出演

2009年12月28日投稿

『南極(人)』公演無事終了御礼

ルナティックサーキット掉尾を飾る『南極(人)』、
ご来場ありがとうございました。
無事、全公演終了いたしました。

京極夏彦さんの原作は当然、読んでいたのですが、これを舞台化
するにはかなりの脚色が必要だな、と思っていました。
ところが、それをまあ、ほぼ原作通り舞台化するという暴挙に(笑)。

当然のことながら、あの長い、非会話調のセリフを出演者たちは
丸暗記しないといけないわけで。
しかも演出家からの指示は出来るだけ早口で、というもの。
これは普通にやっては絶対喋ることなど不可能、と判断し、
あるお仕事でお話する機会を得た声優の青野武さんに
長ゼリフのコツ、というのをお訊きしました。
そしたら、青野さんが教えてくださったのは“リズムでおしゃべりなさい”
と言うことでした。歌を歌うような感じの流れにあわせてしゃべり、
そして、ここは聞かせたい、という要所々々のところのみ、
きちんとしゃべる。モンティ・パイソンやバットマンのジョーカーは
そうやってしゃべった、と。

幸い、私の役の中大岡百太郎というのもモンティ・パイソンの
中の一員のようなキャラクター。徹底してマンガにしよう、と、
リアルを向こう岸に置いてきたようなマンガ芝居をしましたが、
観に来てくださった方やスタッフの人からも、これは好評を得た
ようです。早口でも唐沢さんのセリフはちゃんと聞き取れた、と
いう評は嬉しかったですね。あの芝居、実は青野武さん仕込み
なのであります。

不思議なもので、歌い調子の早口でないと言えないセリフ、というのも
あるんですね。
「あなたのオナラ嗅いで誰か気絶した人はいませんか、と訊いたところで」
なんてのは、ゆっくり普通にしゃべると、“誰か気絶した人は”の
部分で必ず噛む。ところが、本番のセリフの中ではリズムに乗った
いきおいの早口でしゃべるとスーッとしゃべれる。
人間の生理の謎、ですね(笑)。

で、長ゼリフを喋っている間中、脳内ではアドレナリンでまくり。
押尾学ものりピーも馬鹿だなあ、クスリなんかやらないでも
こんなにハイになれる方法があるのに、と思いましたね、いや、半ば
マジで。

終った後はもう、全身、ことに腰と股関節がキリキリ痛むほどに
なっていました。これは、中大岡の役が常に相手を下からネメつける
ように、腰をかがめていたからでしょう。おまけに舞台中を歩き回り
ましたからねえ。それに、公演中は全く気づいていなかったわけです。

11月は作・演出家として役者を使う楽しさを、12月は役者として
演技する楽しさを十二分に味わえました。舞台に上がる者としては
これは実に贅沢な喜びでしょう。

これを本業の物書きにどう活かしていくか、が今後の私の課題で
あること、言うまでもありません。

さて、次回公演まではやや、時間が空きます。
それまでに仕事のしだめをしないとな。
本当にこの一年、ありがとうございました(来てくださった方)。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa